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「だいたいだなぁ、男が逃げるなんて
ありえねーだろ!根性無しが!」
「ンなこと言ったって、
責任取れねーもん仕方ねーだろ!
無責任なこと出来っか!」
「じゃ、責任もちゃいいじゃねーか。」
「取り返しのつかねーこと
しちまったらどうすんだよ!」
「っつーか、まだだったのか?」
「・・・・・・・・・・・」
聞いてる方が恥ずかしいよ・・・まったく。
「案外真面目君だったのね、雄輔くん。」
「普通だろ。」
「俊介ならそんな我慢は絶対しないよね。」
「とーぜん。
ま、オレはそれで一度みさとに振られたんだっけ?」
ニヤッと笑って答えた部長は
しかし、きっぱりと言った。
「両思いなのに避けるなんて
バカとしか思えねーぞ。」
え・・?
ってあたしと雄輔は顔を見合わせる。
両想いって・・?
何で知ってんの・・・?
あたしだってさっき知ったところなのに・・・
「分かって無いのはお前らだけだ。」
ウソ・・・・
あたし達はじっと顔を見合わせた。
「もー♪そんなに熱く見つめ合っちゃって♪
見せつけないで二人だけの時にしてよね♪」
みさと先輩にからかわれて
あたし達は真っ赤になった。
「さ、練習すっかな。」
照れ隠しのように言って
雄輔はグローブを手にとり
運動場のキャッチボールの集団に紛れこんだ。
「よかったね。あかりちゃん。」
みさと先輩が満面の笑みで声をかけた。
「はい!」
照れくさかったけど
めちゃくちゃうれしくて
あたしも満面の笑みで答えながら
ボールを投げる雄輔をじっと目で追っていた。