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「ちょっとまて!オレがいつ卑怯な真似したって?」
マジな顔して雄輔があたしに言った。
おーーー
久々の雄輔の直視。
こんな場面のくせにちょっと照れるあたし。
「おい!何とか言え!」
「は~~~い、続きは部室でどうぞ♪
みんなびっくりしてるから
こんなとこで大声出さないの♪
あかりちゃん、言いたいこと
ちゃ――んと言った方がいいわよ。」
みさと先輩は満面の笑みで背中を押した。
「ほら雄輔、マネージャーの言うこと
ちゃんと聞いてこい!」
「ンなこと言われなくったって・・・!」
「「はいはい♪」」
部長とみさと先輩に押し込められるように
あたしたちは部室へと放り込まれた。
「で?オレが何したって?」
雄輔があたしの前に立ち問い詰める。
こういうとこって昔から変わんないよね。
理不尽には正面切って立ち向かいたい所。
「何であたしを避けんのよ。」
静かに言ったあたしに雄輔が一瞬ひるむ。
「避けてんじゃなくってなぁ・・・」
「そんなのみずくさいじゃん。
最近目も合わせてくれないし。」
「だからそれは・・・」
口ごもって言葉を濁す。
「あたし、耐えられないんだけど。
ちゃんと目くらいあわせてよ。」
・・・・・・・・・・・
「ねぇ!」
近寄って雄輔の顔を覗き込んだ。
「やめろ!」
そっぽを向く雄輔。
「イヤ!」
あたしは雄輔の顔を手で挟むと
「逃げてんじゃないよ!」
ってじっと見つめた。
「バカ・・・・ったく・・・・しらねーからな。」
いきなりぎゅっと抱きしめられて
息が止まりそうになった。
「暴走しねーようにわざと離れてたのに
その努力を無駄にしやがって!バカあかり。」