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それからの雄輔は
普段通りにしているようでも
ぜ―――ったいにあたしと目を合わせなかった。
それが次第に
あたしの中では不自然に重くなっていった。
なによ・・・・
何拗ねてんのか知らないけど
そんなに拒否しなくていいじゃん。
寂しいじゃん・・・・
日に日にその想いは大きくなっていく。
部活中はもちろんのこと
勉強してても雄輔が気になって仕方がない。
「みさと先輩、あたし、もう、限界!!!」
みんなが練習しているときに
あたしは先輩に愚痴った。
「なんであたし、避けられてんだと思います?
意味分かんないまま
ちっとも答えてくれないし
そんなの幼馴染のくせに
卑怯だと思いませんか?」
いきなり爆発したあたしに
ちょっとびっくりしたみさと先輩は
「なに?いきなり・・・まだ口聞いてなかったの?」
なんて目を丸くした。
「俊介が『あいつら両想いだからなぁ♪』
って、言ってたのはだいぶ前だったのに・・・」
「両想いもなにも・・・
目も合わせてくれないんですよ!
ひどいと思いません?」
ぷーーっと頬を膨らませて言うあたしに
みさと先輩はフッと笑って言った。
「そのまま雄輔くんとっ捕まえて言ってみたら?」
そう言うと、みさと先輩は
「ちょっと~、雄輔くん!こっち来て。」
って、ランニング中の雄輔を部室に引っ張ってきた。
「こら!マネージャー、
雄輔の練習メニュー、邪魔すんじゃねー。」
意味深な笑いを浮かべて部長がみさと先輩に言った。
「急用なの!」
みさと先輩も意味深な目で部長を見る。
二人してニヤッとあやしい笑みを交わすのを見て
何だかちょっとうらやましかった。
ああいうのを
『目と目で会話する』
って言うのかなぁ・・・
「なんですか・・・?」
みさと先輩に雄輔は問いかける。
もちろんあたしの方は一切見ようともしない。
あれだけ仲良かったくせに・・・
「あかりちゃんが君のこと
卑怯者って言ってたよ。そうなの?」
「「はぁ?」」
思わずハモッてしまった・・・・・
そこだけ言いますか・・・先輩・・・・
それはないでしょ・・・・