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納得できないあたしに雄輔は言った。
「そうやって歯食いしばってるあかりを
見たくねーンだよ。」
そのまま雄輔は全力でその場を走り去った。
・・・・・・・・・・・
あたしは全く理解できない。
何なのあれ・・・
2回目は少し余裕もあったけど
少なくともああいう一方的なのは
どうしても受け入れられない。
しかも雄輔の行動の意味も分からない。
とにかく、側に寄って欲しくないことだけは理解した。
もちろんそれに納得できるはずもないけど。
「マネージャー、ちょっと。」
悶々と過ごしていたある日
部活の最中にあたしは部長に呼ばれた。
「はい、なんでしょうか。」
「ちょっと部室来て。」
練習中に部長が抜けるなんて珍しい・・・
あたしは部長について行った。
「まあ座って。」
パイプ椅子に向かい合って座ると
部長は用件を切り出した。
「雄輔とは仲直り出来たか?」
・・・・・・・・・・・・
「仲直りもなにも・・
喧嘩してないのに・・・」
「アイツの思い詰め方なぁ、
ちょっとまずいんだよな。」
・・・・・・・・・・
「最近特に態度ワリぃし。
ま、それは前からだけどな。」
そう言って苦笑いする部長。
「マネージャーの仕事でもあんだよ。
メンタルケア。分かる?」
「分かりますけど、近寄るなって・・・・・・」
うつむいて言うあたしに
部長はいきなり笑いだした。
「アイツ、とうとうブレーキ壊れたか!」
あっけにとられるあたしに
部長はニコッと笑った。
「オレにも覚えあんだ。
まぁ・・・・・そういうことか・・・・」
一人納得した部長に
全く意味の分からないあたし。
何がどうしたって?