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この先の結末  作者: みほ
54/84

54

バカ・・・バカ・・・雄輔のバカ!




あたしは一人薄暗くなった道を帰りながら


悲しくて仕方なかった。




女の子たるもの、


ファーストキスに夢を見ることくらい


想像つかないんだろうか。




あんなのがファーストキスなんて


悲しすぎるでしょ・・・




相手は大好きな雄輔だけど


ほんとはちゃんと心を通わせて


ちゃんと目を見て、


優しい言葉の一つもかけられて


それで、甘い時間を共有したかった。


なのに・・・・




思い出しても悔しくて


成り行きだなんてサイテーな事言われ


雄輔にとっちゃ、大した意味もない


そんな行為だったんだろうか。




それからあたしは雄輔の顔が


まともに見られなくなった。


というか見たくなくなった。




好きな人に裏切られた気分というのは


なんとも言えず複雑で


裏切られたといっても


あたしの中でそう受け止めてるだけで


雄輔にとっちゃ“なりゆき”なんだけど。






「あかりちゃん、どうしたの?


雄輔くんとけんかでもした?」


みさと先輩に言われて、


思わず胸の内を漏らした。




「あかりちゃんって可愛いね♪」


みさと先輩はニッコリ笑ってあたしを見た。




「どうしてですか?」


不思議そうに聞くあたしに先輩は言った。




「だって、恋愛に夢見てて


それを大事にしてて・・・・・・・・


擦れてないっていうか、初々しいっていうか♪」




初心者ってことですか・・・・?


ま、そうなんだけど。




先輩は真顔に戻ると


必死にボールを追う部員たちを見ながら


あたしに言った。




「相手も同い年なんだからね。


王子様役を求めるのは、ちと酷じゃない?


俊介もそうだったけど、


結構いっぱいいっぱいみたいだよ。


恋する男の子もね。」




・・・・・・・・







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