50
まさかこんな所で
実現するとは思わなかったな・・・
ただただ夢中で
「雄輔!落ち着いて~~~!」
って、ギュっとしがみついた。
あたし達、昔からよくじゃれあってたから
あんまり深い意味もないんだけど。
「おい・・・・」
呆れたような雄輔の声が頭の上から降ってくる。
し――んと静まり返ったグラウンドに気付いたのは
たっぷり30秒は経ってからのこと。
「へーーぇ、おとなしそうな顔して
やるときゃやるじゃん。」
ちょっと動揺を隠しきれない福井先輩は
顔が引きつてる。
「もういいから。」
雄輔が落ち着いた声で言った。
「は?」
「は?じゃねーって。」
そう言われて改めて周りを見ると・・・
「ゲェ!!!」
思いっきり変な声をあげて
あたしは雄輔から飛びのいた。
「なんつー色気のねー声出すんだよ。」
雄輔が苦笑してる。
それどころじゃないよ・・・
みんなが見てるじゃん・・・・
変な意味で注目集めちゃった・・・
「んもう♪あかりちゃんってば
そういうことは二人っきりの時まで待ってよね♪」
みさと先輩が固まったその場の空気を
さっと降り払うようにさらっと言って
「ほら!早く練習!」
って、みんなを練習に追い立てた。