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「雄輔、先輩とあんまりもめない方がいいよ。」
雄輔と歩きながらちょっと忠告してみる。
ややこしい事になるとイヤだもん。
「大丈夫。心配すんな。」
「でも・・・」
「んなことでグジグジ言うようなヤツは
ぶん殴ってやるから。」
・・・・・そんなことしたら停学とか部活停止とか
余計ややこしくなるんじゃないか?
ちったぁ考えようよ。
「腹減ったぁ、なんか食いにいこーぜ。」
いきなり雄輔はニッコリ笑って話を変えた。
その笑顔、予想してなかった分
心臓に悪すぎます。
しかも・・・・・
気が付けば、さっき引っ張られたまま
雄輔はあたしの手をしっかり握っていた。
マズイ・・・・顔が赤くなる・・・・
「ハンバーガーでいいよな?」
「うん。」
なぜか照れながら答えるあたしに
雄輔は不思議そうな顔をした。
「ん?ハンバーガーって嫌いだった?
んなことねーよなぁ?」
嫌いじゃないよ。
嫌いじゃないけど
今は思考がそれどころじゃないんだよ!
この手・・・あたしはどうすればいいんでしょうか・・・
出来たらこのまま繋いでたいよ・・・
ちょっとうつむいて
あたしは歩いた。
「部長たち、どうなったかな・・・?
まだみんな追いかけてんのかな。」
「多分な。」
「この前も雄輔、先に帰ったの?」
「いや・・・・最後までいた。」
やっぱりほっぺのチュッは見てたわけだ・・・
恥ずかし・・・・・
出来ることならみんなの記憶から消し去りたい・・・
「あんなヤツに近寄らせんな。ボケ!」
雄輔のつぶやきに思わず噴き出した。
「じゃ、誰だったらいいの?」
笑いながら言った言葉に即答で帰ってきたのは
「オレ。」
だった。