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小塚先輩は慣れた様子で
ケータイでの連絡を受けながら
楽しそうにデートの追跡をしていた。
『小塚さん、二人は海岸沿いに
散歩に行くみたいです!』
報告を受けた小塚さんは
それを聞くとみんなに言った。
「海行くぞ。」
海なら人が多くて見つかりにくい。
「3人以上にはなるな。目立つ。いいな。」
「オッケー♪」
「じゃ、オレマネージャーと行こうかな♪」
「あ、オレも!」
「待てよオレも!」
・・・・・3人までとおっしゃいましたよね・・・確か。
勢いにおびえて一歩下がると、
「マネージャーは初めてだからオレが連れてく。
いいよな。」
と、小塚先輩が側に来た。
「冗談じゃねー。
お前みたいなヤツに任せてられっかよ。」
と、雄輔が小塚先輩の前に立つ。
「オレと張り合おうなんていい度胸だな。」
「1日かかって落とせなかったくせに
偉そうな口きいてんじゃねーよ。」
・・・・・・・・・・・・・
この二人・・・・
やっぱりどことなく似てるわ・・・・
そう言ったら二人して違うと声をそろえて言うだろうけど。
「ほら、早く行かないと!
雄輔も、先輩も行きますよ!」
あたしはその場の凍った空気を抹殺すべく
そう言って歩き始めた。
みんなもほっとして海を目指す。
程なくついた海は、どこもかしこも人・・・
なのに目指す二人はすぐに見つかった。
二人仲良く並んで木の影に座っている。
「ふーーん、なかなかいい雰囲気じゃん。」
「そりゃ元恋人同士だかんな。」
「もしかして良いもん見れるとか?」
「何期待してんだよ、ボケ!」
いろんな声を聞きながら
あたしもこうして見られてたのか・・・と
改めて愕然とする。
「先輩・・・」
隣を歩いていた小塚先輩に確かめたくなった。
「なに?」
「この前の時もこうやってること知ってたんですよね。」
「ああ。知ってたよ。」
「だったらなぜ・・・」
「巻かなかったって?そりゃ・・・」
小塚先輩はニヤッと笑って
「オレのモンってみんなに知らせたかったからね。」
とのたまった。
「誰がお前のもんだと!?」
あたしが言うより早く反対側から突っ込みが入った。