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「みさと先輩、ありがとうございました。」
みんながグラウンドに散った後、
あたしはお礼を言いに行った。
「いいの、いいの。
っていうか、あたしも嬉しいし♪」
「え?」
ニッコリ笑ったみさと先輩は
ちょっぴり遠い目をして言った。
「さっきみんな言ってたでしょ?
あたし、俊介と付き合ってたんだ。」
・・・・・・・・・・・・
「小塚先輩もだけど、俊介も結構
ノリで女の子とチャラチャラすんの好きだし
ああいうのと付き合うと
彼女としてはしんどいわけ。
で、別れちゃった。
でもね・・・・実はまだ好きだったりすんのよね。」
・・・・・・・・・・・・
初めて知ったよ・・・・
「あかりちゃんは、雄輔くんでしょ?
あの小塚先輩に落ちなかったんだから
よっぽど好きな人がいるんだよねって
みんなで噂してたんだ。」
「え・・・あの・・・」
いきなりな発言に戸惑ったあたしに
みさと先輩はくすっと笑った。
「あんなに一生懸命になってくれて
嬉しくないわけないじゃん。
うらやましいなぁ。
で、ちょっと意地悪しちゃった♪」
え?
「俊介は、小塚先輩で落ちなかったあかりちゃんを
プライド掛けて落そうと
企むようなヤツなのよね。
落ちた女の子にはかわいそうだけど
ま、後は続かない。
お気の毒なんだよね・・・・
ま、そんなアイツに惚れたあたしが
一番かわいそうかも知んないけどね。」
寂しそうに笑うみさと先輩は
なんだかあたしよりずっと大人の顔してた。
「ま、雄輔くんなら俊介みたいなことは
なさそうだし、頑張ってね♪」
明るく言われて、思わずはいと返事すると
「やっぱりそうなんだぁ♪」
って、ニッコリ満面の笑み。
「え――いつから?
もしかしてもう付き合ってるの?
デートとかした?
もしかしてその先も?」
いえいえ・・・
タジタジ・・・となるくらいの勢いで
質問の嵐。
「で、何か困ったことがあったら
何でも相談してね♪」
と、みさと先輩は
あたしの肩をポンと叩いて言った。