④
「なぁ、あかり、英語のノート見せろよ。」
雄輔の言葉に、あたしは
キッと睨みつけた。
何よ。
さっきまで先輩と・・・・・・
何度か悔しくって
知らんぷりを決め込んだ。
むしゃくしゃする。
何だか面白くない。
「何怒ってんの?」
雄輔がおちゃらけてあたしの顔を覗き込んだ。
一瞬周りで悲鳴のような声が聞こえた。
思わず顔をあげて雄輔と目が合う。
・・・・・・・・
口惜しいけど、負けた。
整った顔立ちに。
優しいふりした眼差しに。
あたしは黙ってノートを差し出した。
「あかりのノートって、分かりやすいんだよな。
サンキュ~♪」
そう、昨日、必死になって
綺麗に分かりやすく書きなおしたの。
雄輔のために。
テストに出そうな所は
チェックマークまで入ってる。
横からのぞき込んだ隼人が
一瞬驚いた顔になって
そしてまじまじとあたしの顔を見た。
「これ・・・・・お前・・・・わざわざ?」
言うな。気付いても言うな!
隼人はあたしの視線を受けて
言葉を切った。
「雄輔、これでいい点取れなきゃ
バチ当たんぞ。」
隼人の言葉に
「んなこと言っても無理!
オレの頭をなんだと思ってんだ!」
と、変な自慢をする雄輔。
あたしは、やるせない思いに
大きなため息をついた。