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部活が済んで、帰り支度を終えて
いつものように雄輔と帰る。
帰り道、何も言わない雄輔に
「何怒ってんのよ。」
って、恐る恐る聞いてみた。
「バカヤロー!」
たった一言、雄輔は吐き捨てるように言った。
「なんで絶対嫌って言わなかったんだよ。」
「あそこで絶対嫌って言える?
何か野球部の恒例だって言ってたし。」
だからあきらめて・・って言われたっけ。
「んなこと知るか!」
思いっきり不機嫌な顔でそっぽを向く。
ここまであたしに怒るのって珍しい・・・
「とにかく、デートくらい、仕方ないじゃない。
それ以上って言われたら
そりゃすんごい困るけど。」
って、言ったら言い終わると同時に
「当たり前だろ!」
って、また怒る。
・・・・雄輔、そんなに怒んないでよ・・・・
「お前、デートくらいってなぁ、
甘過ぎんだよ!
何かあったらどうすんだよ。
しかもあの、小塚だろ・・・!」
チッと舌打ちしながら雄輔は
イライラを隠そうともせずに怒ってる。
雄輔・・・・それ考えすぎ。
っていうより、いつからそんなに心配症になった?
「あかりはトロくせーから
気付いた時にはどうしようもなくなってるぜ。」
何がだよ・・・・ったく・・・・
いつまでもグダグダ言ってる雄輔に
あたしもイライラしてきた。
「雄輔!そんなこと言うんだったら
一番にあんたが帰ってくりゃ良かったじゃん。
そしたら、いつまでもうじうじ
愚痴ってることもなかったんでしょ!
自分が負けたくせにみっともないって!」
「何だと!」
言い過ぎたと思ったけど
あたしも止まらない。
「雄輔にそんな言い方される覚えはないわよ!
雄輔こそみんなの空気読めば!
デートでみんなが頑張るんだったら
マネージャーとしちゃ本望よ!」
一瞬、キッと雄輔の目がきつくなる。
・・な・・なによ・・・