③
2年生になったあたし達は
また同じクラスになった。
なぜか隼人も同じクラスで腐れ縁。
相変わらず宿題は見せろとうるさいし
授業中寝てるし
中身はいつまでも成長しないな・・・なんて思ってたのに
ある日の昼休み。
人目を避けるように廊下を歩いて行く雄輔。
ちょっと照れたような雄輔に
なぜかこっそりついて行こうという気になった。
誰もいない野球部の部室に入った雄輔。
「あ、雄輔くん、来てくれたんだ♪」
「ああ。何か用か?」
「・・・・そんなこと聞く?いまさら。」
「だよな・・・」
3年のマネージャーじゃない・・・・
しかも、イケナイことしてるとかいう
ちょっと良くない噂のある・・・・
重なる二人の影をちらっと見た瞬間
足音を立てないように
あたしは引き返した。
足が震える。
ドキドキが止まらない。
アイツ・・・・・・
何やってんのよ!!!
勝手に一人成長してる・・・・
信じらんない・・・
胸の奥が痛くて、ご飯がのどを通らない。
友達のほなみが、あたしの異変に最初に気付いた。
「何かあったの?顔、青いよ?」
あたしは何も答えられず
力なく自分の席に座った。
別に雄輔が誰と付き合っても
それはあたしがどうこう言えた義理じゃない。
彼女でも何でもないし。
そう、雄輔の中ではただの幼馴染。
便利な宿題仕上げマシーンなのかもしれない。
そして・・・・・
女としてあんな人が
雄輔の傍にいるなんて・・・・・・・
まだ誰にも触れられたことのない唇にそっと触れたら
じわっと涙がにじんできた。
おかげで、
なぜか鼻歌歌いながら教室に戻ってきた雄輔の顔は
あたしにははっきり見えなかった。
嬉しそうな顔なんて見たくもないけど。




