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「今日の練習はロードワーク。」
いきなり部長が宣言した。
うちの学校は山の中腹にあり、
坂道を上った上にある。
ちょっと・・・というかかなりきついんじゃない?
「んな、無茶言うよ・・・
ゴール前に坂道なんて死にそうじゃん。」
みんなのブーイングもものともせず
部長は言った。
「優勝者には、マネージャーと1日デート♪」
突然の爆弾発言に
みんなががぜん張り切りだす。
「どっちと?」
興味津々のみんなの視線を浴びて
あたしとみさと先輩はため息ついた。
「前もやってたなぁ・・・
ある意味恒例なの。乗ってやってよね。」
みさと先輩に言われて
「はぁ・・」
と、力なく返事を返す。
「どっちのマネージャーがいいかは選ばせてやろう。
いいよな、マネージャー♪」
「・・・・・・・・・・オッケー」
みさと先輩の返事にみんながいっせいにスタートラインに並ぶ。
「3キロ先のお寺の門にタッチして帰ってくること。
不正がないか、マネージャ―、先に行って来い。
赤マジック持ってな。」
「はいはい、んじゃ、あたしがチェックするからね。
みんな頑張ってね。」
と、みさと先輩は自転車で先に出発した。
あたしはゴールか・・・
しかし・・・何という練習・・・・・
「位置について、用意、ドン!」
あたしの号令を合図に一斉に走り始める部員たち。
思わず心の中でつぶやいた。
「一番になって・・・雄輔。」