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「よっ。」
軽く手をあげて声をかけられる。
「あ、こんにちは。」
「また後でな♪」
「はい。」
ニッコリ笑顔で答えたあたし。
あたしは、お昼御飯のあと、
同じクラスの友達と一緒に食堂に行った。
高校生になると学校に自販機があるなんて知らなかった。
堂々とジュースが飲めるなんて
メッチャ嬉しいんだけど♪
ということで、今日はたまたま食堂で
自販機の前に並んでいたら
お昼を食べ終えた部長に会った。
で、さっきのご挨拶。
「きゃぁーーー!あかり、さっきの誰?
すっごいカッコイイ!!!」
「え?うちの部の部長だけど・・・?」
「ねぇ、紹介してよぉ!!!
まだ入り口のとこにいるじゃん!!!」
「・・・・・いいけど・・・」
妙にハイテンションのみんなを連れて
手に持ったオレンジジュースを飲みながら
部長の背中を探す。
友達と戯れながら何か話して、
時折笑い転げてる。
・・・・部活の時には見ない顔だなぁ・・・
珍しいもの見ちゃった・・・
「先輩!」
あたしは部長に呼びかけた。
あたしを振り返ってニコッと笑う部長。
あれ?
後ろでみんなクラクラよろよろしてますが・・・?
大丈夫?
「どうかした?」
「いえ、友達が先輩に会いたいと・・・・」
と言いかけた途端
「きゃぁ~~♪何言ってんのよあかり!!!」
と、妙なテンションの声が響く。
「良かったら、また部活の見学においでよ。」
甘い声ととろけそうな笑顔で言われて
みんながいっせいに頷いた。
・・・・・・・・・おいおい・・・
「・・・・・すみません・・・じゃ、行くよ。」
何だかアイドルにでも会ったような反応のみんなを
そのまま教室に引っ張って戻る。
「あんなカッコいい部長っているんだね。」
みんなが口をそろえて言う。
「絶対惚れるよね・・・」
うんうんと、頷くみんな。
いや・・・確かにカッコいいけどね。
「部活行くのも楽しいよね・・・あんな人がいたら。」
うらやましそうに言われて
「ま、楽しいけどね。(あたしは別の意味で)」
と、答える。
「あかりも好きなんでしょ?照れなくっていいって♪」
みんなが楽しそうに詰め寄る。
好奇心思いっきりむき出しにして。
「そりゃ嫌いじゃないけどね。」
「じゃ、好きなんじゃない!」
「もっと好きな人はいる。」
ぎゃぁぁぁぁぁ!!!
という絶叫が、廊下の端まで響いた。
何事かとみんながこっちを向く。
「もう、今日はぜーーーったい野球部の見学に行くから!」
「で、あかりの好きな人当てようか♪」
「あ、それ面白そう♪」
「でもあたしはあの先輩がいいわぁ♪」
そして・・・・
「あかりぃ~♪」
・・・・・・ほんとに見学に来るとは思わなかったよ・・・・