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学校の先生たちが驚くような
ラストスパートをかけて
雄輔はあたしと同じ高校に進学した。
「やるときゃ、やるんだよ♪」
ピースサインで嬉しそうな雄輔。
高校に入った途端、
いろいろな学校の子たちが
「ねぇ!雄輔くんって彼女いるの?」
と、騒ぎ始めた。
またか・・・・
あたしはどうせオトモダチだもんね・・・・
直接雄輔に聞くツワモノもいて
「付き合ってる人がいなかったら是非・・・」
なんて言うこともあったらしい。
「で、雄輔はなんて?」
本人が笑いながら言うもんだから
少し顔をひきつらせて聞いてみた。
「好きなヤツがいるから付き合えない。
って言ったらあきらめるぜ。大抵。」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「誰か気になんのか?」
あたしの微妙な顔を見て雄輔は笑う。
「そりゃ・・・いや、別に・・・」
しどろもどろのあたしに雄輔はニヤッと笑って
「じゃ、部活行くか。」
と、話を変えた。
そう、あたしは自分の好きだったテニスより
雄輔の好きな野球を選んだ。
「よ、マネージャー、今日も頑張ってな!」
先輩たちに声をかけられる。
「はい!」
笑顔で答えてあたしは今日も
大きなやかんを持って冷たいお茶を作りに
用務員室へと走っていった。