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「あかり・・・・何か怒ってんのか?」
帰りながら雄輔が言った。
「んなことない。」
怒ってると言えば怒ってるかもしれないけど。
「んじゃ、俺ら、友達だよな。
何かみずくさい事言うなよな。」
・・・・・・・・・・・・
友達・・・・・か。
そうか・・・そうだよね。
あたしが雄輔のこと友達を思えないだけで
雄輔の中ではあたしはオトモダチ・・・
「で、なんで泣いたんだ?
何かあったんだろ?」
オトモダチのあんたに言えるような理由じゃない。
「オレさぁ、あかりのこと好きだし、
これからも今までみたいに
ノート見せてもらったり
バカなこと言いあいしたりしてーから
お前の言う通り勉強も頑張ったしさ、
良い友達だろ?オレ♪」
ほんっっっとにバカ・・・・・・・・・・・・!
あんただけだよ、そんな風に思ってんのは。
「オレ高校行ったら、部活楽しみにしてんだ♪
部活引退してから体がウズウズしてさぁ。
早く4月になんねーかなぁ♪」
4月・・・・かぁ。
隣を歩く雄輔をそっと見上げる。
「高校、一緒に行けたらいいなぁ。」
ボソッとつぶやくと
「ああそうだな。」
そう言って雄輔もあたしを見た。
高校に一緒に行けたら・・・・・・
こんな日がもう少し続くんだ・・・・
「高校でもテニスすんのか?」
雄輔に聞かれて
「分かんない。」
と答えると
「マネージャーやんねー?
高校って、マネージャーいるじゃん?」
って、言う。
マ・・・・・マネージャー?
あたしが?
・・・・・・・・・・・・・・・・
それ楽しそうかも・・・・
一人で高校生活に想いを馳せながら
笑顔が戻ったあたしを雄輔は
ほっとして眺めていた。
あたしは、泣いていたこともすっかり忘れ
雄輔と今までみたいに話しながら
気分がとても落ち着いてきた。
「やっと、いつものあかりに戻ったな。
じゃ、また明日な。」
いつしか家は目の前で
名残惜しく思いながらも
あたしは珍しく笑顔でただいまを言えた。
ほんと、久しぶりだな。
こんな気持ち。
もしかして雄輔欠乏症だったのかな・・・