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残り少ない中学生活。
まさかこんな結末を迎えるなんて・・・
雄輔は、
よく隣の組の女の子と一緒にいるようになった。
受験まで後わずか。
こんなところで勉強が手につかなくなるなんて
どうすんのよあたし・・・・
授業はもうすべて終わって
毎日復習のみ。
あたしのノートが雄輔に必要とされることもなくなった。
あせる。
あたし達が培ってきた友情は
どこへ消えさった?
恋のかけらもなかったの?
あの時の抱きしめられた感触は
いつまでも忘れられないで
あたしの体に残っているのに?
ふと気を抜くとそんなことばかりが
頭の中を回ってる。
帰りがけ、席から立ち上がろうとして
クラッと立ちくらみに襲われた。
「あかり、顔色悪いよ?」
ほなみに言われて、苦笑する。
そりゃそうだろう。
昨日だってほとんど寝てないし。
勉強してたわけじゃなく
そりゃちょっとくらいしてたけど
気になることがあると眠れなくなる。
「そう?ははは・・・・」
乾いた笑いを他人の声のように聞きながら
あたしは机に突っ伏した。
あーーーしんど・・・・。
「調子ワリぃのか?無理してんじゃねーの?」
そう言いながら
雄輔があたしの鞄と自分の鞄を重ねて持つと
「立てるか?帰んぞ。」
って、腕を掴んだ。
「別に大丈夫だから。」
と言いつつ、嬉しさを隠せないあたし。
最近ほとんどしゃべらなかったくせに・・・
と思いながらも頬が緩む。
背中に冷やかしの声を聞きながらも
笑顔がこぼれて隠せなかった。
教室を一歩出ると、
「雄輔くん・・・・」
と、聞き慣れない声がした。
呼びとめられたその声に
あたしもつい振り向いた。
あ・・・隣の組の・・・・
「あ、今日はコイツと帰るわ。
ゴメンな。」
雄輔はそれだけ言うとまた前を向いて
歩き始めた。
あたしの背中には彼女の痛い視線が
ずっと突き刺さっていた。
「雄輔、あの子と付き合ってんの・・・?」
思い切って聞いてみる。
「え・・・?」
一瞬びっくりした顔して
すぐにニヤッと笑うと
「妬ける?」
と聞いてきた。
ということは肯定?
「じゃ、あたしはもういいから鞄、返して。」
と、手を出した。
「やだね。倒れて怪我でもされちゃ
夢見ワリぃだろ。」
吐き気までしてきた。
雄輔はあの子と付き合ってるんだ・・・
だからあの子、
ああやってあたしを睨んで・・・
「睨まれるよりましよ!」
それ以上は何も言えなかった。
口惜しいけどあたしが遅かったんだね。
涙があふれてきて
慌ててハンドタオルで顔を抑えると
いきなり廊下を駆け抜け
階段を走り降り
下駄箱でスリッパを脱ぎ
靴を履き変えようとした所で
雄輔に手をぎゅっとつかまれた。
そこであたしの逃走は終わりだった。
あたしは嗚咽を抑えきれずに
泣き崩れた。