⑳
「ほなみ、一緒に帰ろ。」
部活の後、あたしは最近ほなみと帰る。
あの日以来
雄輔はぱったりあたしにかまわなくなった。
っていうか・・・・
「オトンに、あかりの2メートル以内に入るなって
思いっきりくぎ刺されてさ・・・・」
雄輔、あんたそれ言いながらあたしとの距離
1メートルもないけど・・・
「別に手出しするわけじゃねーのになぁ。
・・・・って、あれは出したことになんのか?」
ぼやきながらため息つく雄輔。
「え?雄輔、あかりに手ぇ出したの?
マジーーーー?」
隼人が話に割り込んできた。
「お前にはカンケーねーから。」
ヘッドロックを決める雄輔。
で、隼人のギブアップも何気なくスルーしながら
「無事高校生になったら文句ねーだろ。
ま、それまでオレ、頑張ってみっから。」
最上級の笑顔を見せて
そんなことをいう雄輔に
思わず笑ってしまった。
「じゃ、高校合格したら
この前の真相を話すことにするわ。」
って、あたしもニッコリ。
その言葉に雄輔は固まる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それって今じゃダメな理由でもあんのか?」
じっと顔を見つめてあたしの答えを待つ雄輔に
あたしはどうしても答えることはできなかった。
雄輔が大好きだから
雄輔にくっつきたかったなんて
そんなこっぱずかしいこと
公衆の面前で(誰もいなくても)
言えるわけありませんって・・・・・
それに・・・・・
今だって仲良くしてる友達なのに
改めて付き合ってくださいとかいうわけ?
んなこと言われちゃ雄輔だって困るだろう。
「多分雄輔が困るから言えない。」
「・・・・・・・・・・・・」
雄輔は渋々納得はしてくれたけど
困るのは雄輔じゃなくて
ほんとはあたしだったみたい。