②
それからも、特にあたし達の関係は
変わることはなかった。
「おい!あかり~。
数学のノートうつさせろよ。」
雄輔が教室の後ろの入口から声をかける。
「何で自分でやんないのよ!」
「オレ、バカだから♪」
ニコッと笑うその顔を見ると
ズキュンと胸に衝撃が走る。
中学に入ってからはクラスが違うのに
なんだかんだ言っては
雄輔はあたしのクラスにやってくる。
ま、同じ野球部の隼人がいるからなんだけど。
「オレのノート貸そうか?」
あたしの複雑な顔に気付いた隼人は
気を遣ってそう言った。
「ボケ!お前のノートなんか写したら
間違いだらけでなんも分かんねーだろー!」
漫才みたいにバコンって丸めたノートで
頭をはたきながら雄輔が言った。
「いいよ。別に。ほら、汚すんじゃないよ!」
あたしは努めて平静を装って
雄輔にノートを渡す。
「サンキュー♪」
あたしのノートをゲットして教室に戻る雄輔の後ろ姿を
同じクラスの女の子たちが
甘いため息で見送っていた。
「あかりはいいよね~~。
雄輔君と仲良しで・・・・・
あたしもお話したい・・・♪」
苦笑いしながらあたしはそれらを聞き流した。
確かに、カッコいい。
最近特に背も高くなってきて
気付けばあたしより随分背が高くなっている。
何げなく触れた腕も
思いがけず逞しくて
思わず手を引っ込めてしまうようになった。
何も意識せずにじゃれあえた小学生の頃が
無性に懐かしい・・・・
「ねぇ、あかり、雄輔と付き合ってんの?」
隼人に聞かれて
「あんたバッカじゃない?
何であたしがアイツと付き合うわけ?」
必死で否定すると、
「だよな・・・・相手は雄輔だしな・・・・・」
と、妙に納得された。
・・・・・・・・・・・・
それはそれで複雑だったりすんのよね。
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