⑲
「うわぁ!雄輔、誰にやられたんだよ!
俺らの知ってるヤツか?どこの中学のヤツ?」
教室へ入ってくるなり
雄輔は友達に驚きの声をかけられていた。
あたしも思わず2度見したわよ。
だって・・・・・
「うっせー。お前らにはカンケーね。
転んだだけだ。」
・・・・・・・・・・・・・
明らかに誰もがウソと分かる言い訳。
雄輔の顔は口の横が青く腫れ、
頬も赤く腫れていた。
あたしは思わずうつむいて唇をかみしめた。
あーあ、おじさんもおばさんも
雄輔が無理矢理・・・って思ってるんだ・・・・
確かに、あたし、逃げようとして暴れてたしな・・・
素行の悪かった雄輔は
現場を押さえられどうしようもなかったんだろう。
それに本人無意識だから
説明のしようもなかったはず。
あーあ・・・・やっぱりあたしのせい。
その日、雄輔に
「あかり・・・・ちょっといいか。」
って、お昼休み呼び出された。
誰もいない校舎の裏で、
「オレ、昨日のこと何も覚えてねーんだけど
お前にひどいことしたのか?」
って聞かれた。
「ううん。
雄輔、ごめんね・・・・・痛かったよね・・・」
こみあげてきそうになる涙を抑えて
あたしは謝った。
「んなことぁ、どうでもいいけどよ、
何であんな風になってたか、
さっぱり分かんねーし。
やっぱりオレのせい?」
「それは・・・・・」
あたしは言葉が見つからなかった。
雄輔は確かに寝ぼけていたんだろう。
でも・・・・・・・
確かにあたしが悪かった。
なのにあたしには言えなかった。
雄輔がなぜあたしを抱き枕にしてたのか。
雄輔に添い寝してみたかったなんて
多分口が裂けても
あたしには言えっこない・・・・
ゴメン、雄輔・・・・