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ドキドキしながら現在の状況に
ちょっぴりときめいていた時、
とんとんとん・・・と、
階段を上がってくる足音が聞こえた。
勉強始めて1時間くらいすると
いつもお母さんたちはお茶とお菓子を出してくれた。
今日もその時間だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!
「雄輔!ちょっと雄輔ってば!」
「・・・・・・・・うっせーよ・・・zzz」
起きない・・・・
っていうより、早くここから抜け出さないと!!!
もがくあたしを雄輔は逃がしてくれない。
無意識に抱き枕にしてる・・・・
「頑張ってる?はーい、お茶持って来たわ…よ。」
雄輔のお母さんが一瞬固まり、
そして、はっと我に返ってお盆を側に置くと
「雄輔!!!!!」
って、ばしっっっっっと頭に一発張り手が飛んだ。
「いってぇ・・・・」
と、さすがに目を覚ました雄輔が
何すんだよとすごむ前に
あたしが腕の中でもがいているのと
お母さんが目の前で仁王立ちして
げんこつ握りしめて爆発寸前なのを見ると
一瞬で青ざめた。
「あ・・・えっと、これはオカン、違うんだ、
オレはなんも・・・・」
慌てて雄輔はあたしから腕を離す。
「雄輔、ちょっとおいで!」
と、雄輔を引きずるように連れていくお母さん。
そして、あたしを振り返ると
精いっぱいの笑顔を浮かべて
「ごめんねあかりちゃん、
このバカがひどいことして。
悪いけど今日は帰ってくれる?」
と、あたしの返事も聞かずに
おばさんは雄輔を引っ張って行った。
「オレは別になんも・・・・」
弁解をしようとする雄輔を
「黙ってなさい!」
と、一喝しながら。
あたしは・・・・・
何も言えず、とぼとぼとすぐ近くの自宅へと戻った。
「早かったのね・・・」
と、何も知らないお母さんに言われ
胸の奥になんとも言えない痛みを抱えながら
あたしは自分の部屋に入った。
・・・・・・・・・・・
あたしのせいだ・・・・・
あたしがちゃんと勉強してれば
こんなことにはならなかったのに・・・
きっと今頃、雄輔はこってり絞られてんだろうな
あたしのせいで・・・・・