⑭
みんなの騒ぎようを見て動揺したあたしに
雄輔はニヤッと笑ってダメ押し・・・・
「んじゃ、今日はお前んちにノートもらいに行くからな。
あ・・・くれるまであかりの部屋に居座ろっかなぁ♪」
あーあ・・・・・・
みんなを無意味に刺激してどうすんだ?
雄輔・・・
冷静にその場を見ていたあたしの心とは裏腹に
顔はどんどん赤くなっていった。
もうその辺にしとかないと・・・・・・
「何あの二人・・・・・
こんなとこでいちゃいちゃしてんじゃねーよなぁ。」
聞えよがしの誰かの言葉に
雄輔のふざけてた顔が一変した。
「誰だ?今の。」
さっきまでのおちゃらけ雄輔はどこへやら
目つきの鋭くなった雄輔が
若干低い声で言った。
・・・・・・・・・・・・
「誰が言ったって聞いてんだよ!」
がしゃんと大きな音を立てて
雄輔が机を蹴っ飛ばした。
し―――んと、妙な空気が流れた。
「ほら、授業始まるぞ~。
みんな席につけよ。」
ドアをガラッとあけて先生ののん気な声が聞こえた。
みんな慌てて席に着く。
「ほら、雄輔も。さっさと座わんの。」
小さい声であたしが促すと
雄輔はふてくされた顔して席に着いた。
「んじゃ~、48ページ開けて。」
空気の読めない先生でよかった
多分雄輔を除くほぼ全員がそう思って
おとなしく教科書を開く。
・・・・・・・・これ以上は
みんなに迷惑掛かりそうだな・・・
って、あたしのせい?
なんだか腑に落ちないけど
今日は、ちゃんと雄輔に話してみよう。
一緒に高校行こうって。
ちょっぴり照れながら
そんなこと考えてるあたしの横で
相変わらず雄輔は目を閉じ眠っていた。
いや、眠ってるふりをしていた。