①
あたしと雄輔は幼い頃から仲良しだった。
家は近所ではなかったけど
幼稚園でも小学校でも
なぜか同じクラスで
あたし達はなぜかよく隣の席になった。
「なんだ~、またお前とかよ。」
席替えの時、雄輔が楽しそうに言う声、
今でもよく覚えてる。
「先生!またあたし、雄輔と隣です!」
あたしの抗議もむなしく
「雄輔くんを頼むわね。よろしく♪」
・・・・・・・・・・・・・・
「やだ。。。。」
「うっせーぞ!
また算数の答え、教えろよな♪」
やんちゃんな雄輔のおもり役ですか・・・・あたしは。
中学校に行くと、
さすがにクラスは離れた。
雄輔は野球部。
あたしはソフトテニス部に入った。
狭い校庭は、時々フェンスがあるにもかかわらず
ボールがあちこちに飛び出して行く。
野球のボールがテニスコートに来ることも珍しくない。
「あかり、そのボールとって。」
フェンスの向こうで雄輔があたしを呼ぶ。
「え―――。メイワク・・・・」
そう言いながらも、フェンスの上をめがけて
野球ボールを投げた。
「ヘッタクソ!ちゃんと投げれねーの?」
ニッと笑う雄輔。
なぜかボールはあたしの足元に落ちてきている。
「うるさいわね。ちゃんと出来るわよ!」
足元のボールを拾い、斜め上に投げた。
今度はちゃんとフェンスを乗り越えて
雄輔のもとへとボールは飛んで行った。
「サンキュ~♪やれば出来んじゃん。」
軽く手をあげてニコッと笑った雄輔に
なぜか胸がキュンとなった。
それがあたしの初恋だった。