赤い目の守り木
大きな木の下で、ひとりの女性が眠っていた。
近づいてみると、黒髪で、目だけが異様に赤い。日本人なのだろうか。
僕は声を掛けた。
「hello」
「こんにちは」
女性は流暢な日本語で答えた。
「私は、この木を守っているの」
そのとき、足元から湿った鼓動のようなものが伝わってきた。
幹に触れた指先が、まるで皮膚のように温かい。
怖くなった僕は、衝動的に火を放った。
炎に包まれる木とともに、女性は叫びもせず崩れ落ちた。
彼女は木そのものだったのだ。
僕は、取り返しのつかない罪を犯した。
足元には赤い目が落ちていた。




