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翼よ、あれがパリの灯りだ  作者: 三重野 創


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厩戸の御子

 私はすぐに東洋のラップランド、日本に飛んだ。


 1999年8月18日、グランドクロス。地球を中心に、太陽系の惑星たちが磔された日だ。


 Ise Grand Shrine の方角に、セントエルモの火がやさしく揺らいでいた。

御厩みまやの前に来ると、たいそう元気な男の子の産声があがっていた。


 その日、参拝客は中に入ることができないようだった。私? 私はどこでもフリーパスだよ。


 真珠のような肌の、年の若いおなごがいる。母親だろう。私は御者を制して語りかけた。


「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか?」

 私は西方でそのお方の星を見たので、拝みに来たのです」


 母親は私の言葉ですべてを悟ったのか、いぶかしげにしていた顔をすぐ和らげ、御子に逢わせてくれた。


 私はいてもたってもいられず、御子を高く抱きかかえた。天使のラッパの声が鳴り響く。


「レオン殿・・・ですね」

 母親は気丈な声で尋ねた。

「いかにも」


「わたしは、さる高貴なお方の裏宮、《とよ》と申します。

 わが一族は、2659年間、あなたが来られるのをお待ちしておりました」


「どうやら、私もずいぶん悠長にしていたようです。あなたがたには大変つらい思いをさせてしまった」

「いえ、わたしどものことなど良いのです。どうか、この子を、メシヤのことをよろしくお頼みします」


「とよ殿の願い、聞き届けました。メシヤ殿の受難に比べれば、私の悩みなどたかが知れています。このお方は、その大義のために、背中にグランドクロスをしょって生きる宿命なのですから」










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