浮世柄比翼稲妻(うきよがらひよくのいなずま)
「あ、レオンくん!」
ボストン港にいるメシヤ少年たちのもとに、私はたどり着いた。
「マナさんもご一緒ですよ」
メシヤくんの妹・マナも遅れて付いてきた。
「また奇妙な組み合わせね~」
マリア嬢がからかう。
「マリアさん、わたしも最初は緊張したんですけど、レオンさん、色んなことを知っていて、退屈しないんです!」
マナが援護する。
「さっすがレオンくんだね!」
メシヤくんにとって、私は妹を安心して任せられる存在のようだ。
「それで、わたくし達はこれからどうすればよろしいのでしょうか?」
レマがやや棘のある言い方を私に向けた。
「はい、メシヤくんの臥龍剣と鳳雛剣をここで使います。ハイパーループ建設の大きな障害が、この大西洋のなみなみたる海水量です」
「レオンくん、まさか・・・」
「そのまさかです。まず臥龍剣で大西洋の水を割ります」
あのメシヤでも心配するくらいのことをレオンが口にする。
「さながら、モーセの十戒ですわね」
レマが自分たちの指導者の名前を持ち出した。
「でもさ、レオンくん。臥龍剣で大西洋の水を割ることは出来ると思うけど、ループを通すあいだずっとその状態をキープするなんて無理なんじゃないかな?」
メシヤくんが珍しく気弱だ。
「ええ。そこで、マリアさんにもご協力してもらいます」
「え? あたし?」
マリア嬢は急に自分の名前を出されて驚いた。
「アトランティス大陸浮上とまでは行きませんが、ボストン-リスボン間の水を干上がらせ、その軌道両側に大地を隆起させます」
メシヤはそこまで聞くといつもの企んでいる表情を浮かべた。
「しかして、その方法は?」
「先だっての太陽エネルギーのチャージで、鳳雛剣には充分の火力が充填されています。まず、メシヤくんが海水を干上がらせたあと、マリアさんが鳳雛剣を発動させて、お二人で光瑤剣を現出させます」
「あの光エネルギーなら確かにそれくらいのことは出来そうネ」
エリは光瑤剣の天文学的なエネルギーを目の当たりにしている。
「だが、聖剣はメシヤじゃないと威力を発揮しないんじゃなかったのか?」
聖剣獲得の時から居合わせているイエスが、尋ねる。
「いえ、問題ありませんよ。メシヤくんとマリアさんなら、比翼の稲妻を起こせますから」




