バレンタインのお約束
今日は待ちに待ったバレンタインだ。
かくいう俺も立野のためにチョコを作ってきたのだ。
チョコを靴箱に入れようと少し浮き足だった気分で
立野の靴箱を開けた。
待って?チョコ一個も入ってへんねんけど……
まあ?確かにちょっと人よりチャラいけど毎年ホワイトデーには3倍返しやで!とかいって山ほどチョコをくれる最高の彼氏やのに?確か去年は靴箱から溢れるほどもらってたはず……なんでやろ?
しかも一個も入ってなかったら俺のチョコ入れにくいやん?どないしよう……
こうなったら机の中に入れるしか!
「あれ?三猫?俺の靴箱前でどないしたん?もしかして俺の靴箱にチョコ入れようとしてくれてたん?お前は相変わらず可愛いな〜」
「は?んなわけあるか!お前のために甘さ控えめのチョコマフィンなんて焼いたりしてへんけど!」
焼いてるし!なんなら1ヶ月前から試作して3キロくらい太ったわ!お前のためじゃなかったらこんなことせえへんわ!あほ!
「ふーん?そうなんや…!まあええけど。放課後楽しみにしてるな〜。」
どないしよ?立野に見つからんように早めに来たっていうのに……なんでこんなに早いんや?こうなったら……
***
あーもう!休み時間もあいつの机の近くは人が多すぎる……ずるずるひきづってチョコ入れれんままついに放課後になってもた……それにしても机の中にもチョコ入ってなかった……もしかして俺が知らんだけで立野が誤解されるような出来事でもあったんやろか……それやったら俺が誤解解かな!
確かにチョコ渡される立野を見るのは嫌やけどあいつが悪い方に誤解されてる方が嫌や!そうと決まれば!
「三猫!みーねーこちゃん!」
「ちゃんづけで呼ぶな!」
「しゃあないやん。三猫、話しかけても上の空で話にならんかってんもん。」
「それは……。お前のこと考えとったらこんなことになってしもてん……ってそーやねん!それで悩んでてん!単刀直入に聞くけど、お前今年のチョコ全然もらってへんのなんでや?」
「えっと……それはやな……ちょっと言いにくいんやけど……」
「なんや、はっきりいいなや!俺、お前が誤解されててチョコもらえへんねやったら誤解解くの協力したる。で、なんや?」
「実はさ……三猫が他の子からチョコもらうの嫌かなと思って。去年のバレンタインの時来年から好きな子のしかチョコは受けとらへんってみんなに言ったから。」
「はあ?そんなん……ふーん?俺のことそんなに好きやったんやー?」
ここはラブコメやったらチョコもらえへんのは三猫のせいやで?とか言われて俺が立野の邪魔やったん
や……って落ち込んで拗れるとこを……ふーん?そうなんや?
ほんま立野のそういうとこが好き……!!!
「そやったら立野?ほらこれ……義理やけど。あげる。3倍返しやからな?」
「え?マジで!嬉しい!ありがと。チョコもらえへんと思ってた。」
「義理で喜んじゃって哀れやなあ?」
(まーーあ!ほんまは本命やけど!!お前にしかあげへんし!!!)
「ね〜え。三猫?ちっちゃく声にでてるって気づいてへんの?あーもうほんまにお前は可愛いな〜」
「可愛くないし?出てないし?しかも気持ち漏れ出ててもここは、『ん?何か言った?』って言えよ!お前主人公やろ!」
「そんなん知ら〜ん!三猫はホントに感じたこと全部漏れてて可愛いなあ。赤ちゃんみたいやな〜」
「子供扱いすんな!!!お前のそういうとこほんま
嫌いや!!!」