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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第六章 王宮との関わり

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99・祝宴に行く


 翌日の午後、シューゴたちは組合を訪れる。


「土地の契約の件で来ました」


そう伝えると受付の若い女性は奥へ下がり、笑顔のマスオルが出て来た。


 一緒に別室へ移動する。


シューゴは、土地の買い取りは迷宮救助の報酬額を見てからにしようと思っていた。


口座はもうスッカラカンなのである。


「今回の報酬から差し引いてもらえればー」


「その件なんですが。 組合では、今回のお礼としてシューゴさんたちにあの土地を無料で引き渡すことにいたしました」


マスオルが書類を差し出す。


「えっ」


「無料で?」


シューゴとリーはさすがに驚いた。


「お礼というか、報酬に含める感じですね」




 今回は行政府から兵士組合、東西の職業組合、及び、三つの教会への極秘依頼であり、報酬は結果によって変わる変則的なものだった。


「その行政府からの報酬とは別に、組合から謝礼という形なので無料です」


シューゴは今回の依頼について、名前を記録に残さない代わりに組合の経験値は諦めるとしていた。


リーも「迷宮に入れるならそれでいい」と了承している。


「組合には色々と無茶を言いましたし」


謝礼が出るとは思わなかったと、シューゴは率直な気持ちを吐露する。


「いやいや。 トォモル様の推薦がなかったら、東組合から人員は出せないところでしたので、こちらも助かったのです」


マスオルも東の組合長も、断られても仕方ないと思っていたし、さらに無事に救助して戻るなんてことは期待していなかったのが本音だ。




「報酬は行政府からといいますか、王宮からになりますので、陛下との謁見が条件となります」


だから出席しろということである。


「こちらも全面的に協力いたしますので、何卒なにとぞ!」


マスオルが深く頭を下げる。


シューゴとリーはチラリと横目で視線を交わした。


「分かりました。 よろしくお願いします」


シューゴの言葉にマスオルの顔がパァーッと明るくなる。




「俺も護衛でついて行くけど、そういう役目だから間違えないでね」


「えっと、それはどういう意味でしょうか?。 リーさん」


「あ、リーは服装のことを言ってます。『収集屋』だと普通の商人ぽい感じでしょ?。 リーは雇兵なんで、そういう衣装をお願いしたいと」


「ああ、なるほど!。 承知いたしました」


マスオルは何度も頷き、請け負ってくれる。


シューゴたちは引き渡しの書類に署名して組合を後にした。




 バタバタとしているうちに、あっという間に時が流れ、謁見の日。


朝から組合に呼ばれて、この日のためにあつらえた衣装を着せられた。


藁色の髪を整えて香油で撫で付けると、本当は薄い金色だと分かる。


「シューゴさんって、その、印象が普段と違い過ぎますね」


まるで別人だと言われた。


「あはは、そうですかー」


体は細いが筋肉はあり、猫背を伸ばすとかなり背が高い。




 リーに関しては今回、護衛の雇兵としてついて行く。


マスオルと一緒に仮縫いに行った店の仕立師がリーに惚れ込み、黒を基調とし、一見地味だが上品な衣装になっていた。


「大丈夫?。 本物の騎士さんに怒られない?」


リーが気にしていると、仕立師の老人は首を横に振った。


「ご心配なく。 うちの店でもよくご注文を頂く晴れ着でございますから」


騎士に憧れる若い兵士などが仕立てる衣装だという。


ただ、真剣は持ち込めないため【金庫】に仕舞い、腰に佩くのは装飾品の模造剣である。




「馬車が参りました」


マスオルが呼びに来る。


組合長と三人、極力、人目につかぬように裏口から馬車へと乗る。


王城までの距離は短いが、歩いて正門から入ることは出来ない。


 門では危険物の持ち込みを調べられ、それから王宮内に入ると一旦、控え室に通される。


救助隊四名、調査隊の荷物持ち兄弟と斥候兵。


その推薦人たちが集まっていた。


東の組合長はさっそく挨拶に向かう。




 シューゴとリーはサッサと目立たない隅の方に移動した。


椅子に腰掛けたシューゴの後ろにはリーが立つ。


キクマ隊長が組合長たちに捕まっているのが見える。


こちらを見てはコソコソと話す誰かの声が聞こえてくるが、シューゴはここでしか飲めない高級茶をゆっくりと楽しむ。




 しかし、そういう時もハツーナ神官は遠慮がない。


ツカツカと近寄って来る。


「こんにちは、収集屋さん」


まるで街中のように声をかけてきた。


シューゴは椅子から立ち上がり、丁寧に礼を取る。


「本日も大変お美しいですね。 ハツーナ神官様」


新しい神官服のハツーナが真っ赤になった。


「ふふふ。 我が弟子をあまり揶揄わないでもらいたい」


ハツーナ神官の師匠であり、推薦人のトォモル警備隊長が隣りで笑う。




「揶揄ってはいませんよ。 思ったことを申し上げたまでです。 トォモル様」


今日のシューゴはヘラリとした笑顔は消している。


真面目な顔に、細い垂れ目をなるべく自然に開いていた。


「ふむ。 そちらも普段とは違って好青年だな」


それを聞いたリーが「あはは」と笑う。


「俺もどっちが素か分かんないぜ」


「リー」


シューゴはムッとした顔で嗜めた。


「私は平民ですから、王宮など畏れ多くて懸命に取り繕っているだけです」


少し目を伏せた憂い顔のシューゴにハツーナが何故か落ち着かなくなった。




 扉の外から声が掛かり、王宮の騎士が入って来る。


「皆様を謁見の間にご案内いたします」


移動が始まった。



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