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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第六章 王宮との関わり

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96・指輪を抑える

第六章は間話を含めて10話です

短いですが、よろしくお願いします


 あれからシューゴはガラの牧場で一日過ごして泊まり、翌朝、王都に戻るために街道を歩いていた。


「ーーー」


何かの音を聞いて立ち止まる。


ふと空を見上げると何かが落ちて来るようだ。


「へっ」とポカンとしていると、すぐ近くにドサリと落ち、土の上をゴロゴロと転がっていく。


人の形をしているが、果たして人は空から来るだろうか。


シューゴが腕を組んで考えていると、人影が起き上がる。


「飛べたーーっ!、やったー」


何やら吠えているが、シューゴには見慣れた姿だった。


「リー。 何してるの?」


「あ、シューゴ!」


近付いて来る気配がリーのものだと分かっていたシューゴだが、まさか降ってくるとは思わなかった。




 街道の真ん中では通行の邪魔になるので、少し外れて【テント】を張る。


ここなら魔力も会話も漏れない。


「実はさ」


リーは、里に向かう前に巨大な竜に出会った話をする。


そのため予定より早く戻って来たようだ。


楽しげにウーウのつがいである青竜に、お礼をもらったと見せびらかす。


「なるほど。 それがその魔力石の指輪か」


見かけは安物の、ただ青い石をくり抜いて作ったような指輪だが、魔力の気配が半端なく強い。


飛行魔法が込められていて、魔力がある者なら飛べるようになるらしい。


「それで、お前は飛べるようにはなったが、止まれないと」


「まあ、そういうこと。 しばらくは練習だね!」


ニカッと笑うリーにシューゴはため息を吐いた。




「それ、そのままじゃ王都に入れないかもな」


「なんで?」


リーがムッとする。


「魔力が強すぎる。 何かで抑えるか、薄めるしかない」


いくら地下に魔力が溜まっている王都でも大き過ぎる魔力は警戒される。


「えー」


眉を寄せ、顔を顰めるリー。


すごく良い宝物をもらったのにけなされた気分なんだろう。


「例えば、魔道具は使う時だけ魔力を流して発動するだろ?。 その指輪も飛ぶ時以外は魔力を流さないようにすればどうかな」


「魔力、流してない。 コレ自体が魔力石だから、元から魔力が溢れてるんだ!」


怒り気味のリー。


「あー」と、シューゴは頷く。




「リー。 その溢れてる魔力って吸収出来る?」


指輪一つ分の魔力石。


普通の魔道具であれば、多少漏れても問題ない魔力量だが、この指輪は異常に多い。


それを抑えるとなると、常時魔力を抑える魔道具が必要になるが、そんなものは見たことない。


では、魔力を常に吸収すればいいのではないか。


「吸収?。 俺が指輪から魔力を吸うのか」


「うん。 リーは持ってる力を完全に抑えてるよね?。 その中に入れてしまえばいいんじゃないかな」


「そっか。 指輪を体の一部にしてー」


リーがブツブツ言いながら、目を閉じて集中し始める。


(うわ、これがリーの魔力か。 ウーウさんに似てるってことは、リーも竜族なのか)


シューゴは狭いテントの中でリーの魔力をまともに浴びている。


逃げ出したいのをかなり我慢しているが、冷や汗を感じていた。




 やがて、リーの体から漏れ出ていた魔力が収束。


「出来た!。 回ってるヤツをそのまま指輪にも回るようにしたら、指輪の外に漏れなくなった」


指輪を指と一体化し、漏れる力も体内を巡るようにしたらしい。


シューゴはホッと汗を拭う。


「今後はそれで頼む。 さて、日が暮れる前に王都に入ろう」


「おう」


シューゴたちは【テント】を出て街道に戻り、閉まりかけた北門に向かって駆け出した。




「腹減ったー」とリーが言い出して、広場の夕市でいくつか総菜を買って持ち帰る。


裏通りに入り、もうすぐ我が家が見える所まで来た。


「ん?」


玄関の短い階段に三人組が座っている。


「何してんだ、お前ら」


リーが声を掛けると、跳ねるように「ヒャッ」と驚く。


「シューゴさん!、リーさん!」


筋肉男子のタンサンが立ち上がる。


「うわーん、良かったー」


小太りセカンが何故か泣き出す。


「タンサ!、マスオルさんに知らせて来て」


普段は冷静なしっかり者のロウが叫んだ。


「分かった」とタンサンが組合の方に走って行った。




 シューゴは鍵を開けて中に入る。


「とにかく、リーが腹ペコだから夕飯が先だよ」


話は後にしてもらい、自宅に向かって階段を上がって行く。


「は、はい。 すみません、師匠」


「弟子を取った覚えはないよー」


シューゴは笑いながら皆を部屋に入れる。


 しばらくぶりの我が家なので、窓を全開にし、こっそり【清掃】と呟く。


「手伝います!」


ロウは、シューゴが【収納】から取り出したスープ鍋を受け取り、コンロの火にかけた。


「オイラも!」


一番小さなセカトも精一杯背伸びして食器を棚から出して並べた。




 リーは一旦自室に入って着替えて出て来る。


シューゴも着替えに行こうとしていたところで、タンサンとマスオルがやって来た。


「あ、マスオルさん、こんばんはー」


「シューゴさん、リーさん、ご無事でしたか!」


「は?」


マスオルの勢いにシューゴたちは戸惑う。


「何かあったんですか?」


シューゴが目をパチクリしていると、マスオルが少し低い声で抗議した。


「どこ行ってたんですか!。 探してたんですよ」


「あー、事情はキクマ隊長に」


「聞きました!。 それでも、組合に顔ぐらい出してくださいよ」


「それは、はあ、すみません」


「とにかく無事に帰られたことを報告してきます」


マスオルはまた急いで戻って行った。



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