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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第五章 王都到着

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95・間話 組合の思惑

今回は間話です



「組合長!、大変です」


真夜中、自宅に夜勤の組合職員が押しかけて来た。


「なんじゃ、いったい」


「救助隊が戻って来たと王宮から知らせが来ました!」


「なんじゃと?」


東の組合長である老人は飛び起きた。




 王宮の地下迷宮は広い。


全て調べた者はいないため、その規模は未だに不明である。


王宮の行政府の長である宰相から「行方不明の調査員の捜索」を依頼された。


人選、準備に時間が掛かり、無茶を言う若造の収集屋をなんとか送り出すことは出来たのだが。


それが僅か四日で戻って来たという。


 老人は着替えて組合に向かった。 


すでに坂の上に立つ王宮には煌々と明かりが点り、街の中にも緊張が伝わってくる。


「秘密裏に片付けるのではなかったのか」


宰相が直接、組合長を王宮に呼び付けて依頼したのは、調査員の中に王族の姫がいたからだ。


未婚の高位女性の醜聞にしないためだったはずである。




「組合長」


優秀な部下で、今回捜査に参加した救助隊の人選にも関わったマスオルも来ていた。


「奴らが戻ったそうだな。 首尾は?」


「はい。 兵士組合のキクマが、まずは三人、騎士と役人、それと斥候兵を連れて戻ったようです」


マスオルは情報の収集に自ら王城に駆け付けたが、中には入れなかった。


しかし、門番からはある程度の情報は聞き出したようだ。


「残りは?」


「すぐに上がって来るとしか」


「ふむ」


組合長は王城の門を通るための書類を書き、マスオルに渡す。


「何人か連れて行け」


「承知いたしました!」


マスオルは駆け出して行った。




 王宮の騎士団詰め所には王都西職業組合の職員がいた。


「マスオル、久しぶりだな」


「西の、久しぶり」


東職業組合のマスオルにとっては同僚であり、競争相手でもある。


しかし今はそれどころではない。


「えらい新人が入ったようだな」


「新人というか、ナキの街からの推薦だよ」


異常なほどの高待遇と報酬付きでやって来た『収集屋』の二人組。


雇ってみれば、確かに評判は悪くない。


いや、各種魔道具の取り扱いに加え、干し肉に薬まで自作。


優秀どころではなかった。




「しかし、早い。 早過ぎる」


西の職員は顔を歪めた。


「キクマさんはなんて?」


マスオルが訊ねた。


キクマは、西組合でも知らぬ者がいない熟練の雇兵である。


「今回の救助隊の人選が良かったからだと言ってるよ」


なるほど、と頷く。


「しかし、何故、こんな騒ぎになってるんです?」


秘密裏に片付けるはずだった。


「誰かが密告したんだろうさ」


調査員の中に王族の女性がいた。


かなり我が儘で宰相も手を焼いているとの噂である。


「宰相を引き摺り落としたいということかー」


二人は同時に肩を落として大息を吐いた。




 その時、大きな揺れが起こる。


「な、なんだ!」「キャーッ」「わあっ」


あちこちで悲鳴が上がったが、すぐに静まった。


だが、しばらくの間は警戒し、誰も動けない状態に陥る。


「すまない。 今のうちにキクマさんに会うことは出来ないか?」


マスオルは西の職員に訊ねる。 


「私も話を聞きたいと思っていた。 一緒に行こう」


マスオルは連れて来た職員に情報収集と、騎士団の手伝いをするように指示し、キクマのいる部屋に向かった。




 訓練所横の騎士団詰め所は一般の騎士用であり、役職持ちの騎士は、より王宮に近い官舎に居る。


キクマはそちらに隔離されているという。


若い騎士に案内を頼んで、そちらに向かった。


「おや、お揃いで」


マスオルたちに声をかけてきたのは、中央教会の警備隊隊長トォモルだった。


「トォモル隊長、先日もありがとうございました」


マスオルは、シューゴたちを説得してくれたのは彼だと思っている。


「いえいえ。 私の推薦が役に立って良かった」


三人で並んで絨毯敷きの廊下を歩く。


どうやら目指す場所は同じらしい。




 扉の前で、案内の騎士が出て来るのを待つ。


「トォモル隊長は何か御用が?」


西の職員が意地悪そうに訊ねる。


本来なら、兵士組合の雇兵であるキクマに中央教会は関係がない。


「私は自分の弟子がどうなったのか、知りたいだけですよ」


同行者の中にトォモルの弟子の『神力使い』ハツーナ神官がいた。


案内の騎士が部屋から出て来る。


「どうぞ、お入りください」


三人は会釈を交わして中に入った。




「では、無事なんですね」


キクマは、残りの者たちもすぐに上がって来ると証言した。


「色々とありまして。 先の三人は眠らされていただけなので外傷はないのですが、荷物持ちの二人は魔物に襲われたために回復に時間が掛かっていまして」


「命に関わるものではないのですね?」


兄弟の荷物持ちは西の組合からの依頼で参加した。


西の職員は彼らに対して責任がある。


「そこは大丈夫です。 ハツーナ神官のお蔭で動けるまでに回復しておりますから」


トォモルは「良かった」と息を吐いた。


弟子は役に立ったようだ。


「後の二人は?。 うちから参加した『収集屋』は」


マスオルの追求にキクマは複雑そうに顔を歪めた。


「あー、勿論、無事ですよー」


言葉少なく、それ以上は話したくないという雰囲気であった。


マスオルはトォモルと顔を見合わせ、頷く。


それで良いのだ、と。




 翌日、ハツーナと荷物持ち兄弟が上がって来て、すぐに保護される。


シューゴたちの姿はなかったが、騒ぐ者は誰一人いなかった。





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