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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第五章 王都到着

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92・地上への道


「これから地上に戻ります」


斥候兵は水筒の水を飲みながら頷く。


そして、傍らに眠る貴族の調査員二人をチラリと見て訊ねた。


「アンタたちは何者だ」


責任者のキクマが答える。


「ワシは兵士組合から頼まれた雇兵のキクマだ」


一緒にいるのは仲間だと軽く紹介した。


「そっちは国軍の精鋭だと聞いたが」


「フッ」と斥候兵が鼻で笑う。


「ただの傭兵だよ。 戦争がなくなって暇だったんだ。 報酬が良かったから参加したけど、こんなことになるとはな」


自嘲気味だが、彼はしっかりと鍛えられた体をしていた。


しかも王宮の中に入れるというだけで、ただの傭兵ではないことは分かる。




 シューゴは斥候兵に、五階の休憩所から地上まで先導してくれるようにお願いする。


「ああ、分かった。 迷宮から出られるなら、何でもいい」


シューゴはヘラリと笑って感謝し、彼らと別れて先に地下七階へと戻る。


キクマとリーは調査員を担いで、斥候兵と共に地上に向かった。


リーも地上に救助者を届けたら、すぐに七階まで戻る予定だ。


 キクマは救助隊の責任者なので、地上に出たら、彼らを騎士団に引き渡したり、説明したりする役目がある。


「一番嫌な役割だな」


と、唸っていた。




 リーたちが地上に到着する頃、シューゴは七階に戻っていた。


「ハツーナさんたちには、私と一緒に五階まで移動をお願いします」


「はい」


「分かりました」


ハツーナと荷物持ち兄弟が頷く。


「ウーウ様には、リーが戻って来たら一緒に地上に向かってもらいます」


ウーウが「うむ」と答えた。




 五階と六階との間には、魔物の侵入を防ぐ結界がある。


それさえ抜ければ大丈夫だろう。


「通れないかもしれぬのか?」


ウーウはシューゴに小声で訊ねる。


「はい。 ウーウ様とお子様は魔物判定で弾かれる恐れがあります」


シューゴはリーも引っかかるかもしれないと思っている。


もしかしたら、地下に向かう場合は大丈夫でも、地上に上がろうとしたら『神力』の結界で弾かれるかもしれない。


(やってみるしかない。 何より大事なのは、調査員の救出と、ウーウ様親子を地下から出すことだ)


シューゴは自分に言い聞かせる。


 しかし、最悪の場合を考えておく必要はあると思う。


結界が壊れた場合、どうなるのか。


シューゴにだって分からない。




 そんな段取りを話していると、リーが戻って来た。


「シューゴ、腹減った!。 上は夜だったよ」


「ああ、すまん」


そういえば、朝食の後からは干し肉と水くらいで、碌に食べさせてなかったとシューゴは反省する。


「食事の準備をしますので、休憩にしましょう」


「はーい」


ハツーナと兄弟も嬉しそうな顔になる。


 本当に暗闇の中は昼夜が分からない。


迷宮に入ること自体が初めてのシューゴには色々と考えさせられることばかりだった。




 リーにウーウの相手を任せ、シューゴは魔道具のコンロを出してスープ鍋を乗せる。


「お口に合うか分かりませんが、よろしければウーウ様もご一緒にどうですか?」


「おお、人族の食事は久しぶりだ。 楽しみだな」


ニコニコ顔になった。


 リー同様に大食だろうと、シューゴは【収納】していたパンや肉を大量に取り出す。


「おれたちにも手伝わせてください」


荷物持ち兄弟が張り切って声を掛けてきた。


「ありがとうございます。 でも、体調は大丈夫なんですか?」


「はい。 ハツーナさんのお蔭ですっかり元気なりました!」


「これでも所属している雇兵団の遠征では料理担当なんですよ」


サッと調理器具と食材を奪われてしまう。


「すみません、よろしくお願いします」


「お任せください」


実に頼もしい兄弟である。




 ハツーナは荷物を置いた場所に座り込んでいた。


兄弟がすっかり元気になっているということは『神力』を使い過ぎたのだろう。


疲れた顔でウトウトしていた。


「お疲れ様」


毛布を掛け、食事の準備が出来るまで静かに寝かせておく。

 



 シューゴはウーウとリーの話に混ざる。


「シューゴ、地上に出てからの話だけど」


「うん」


真剣な顔でリーの話を聞く。


 地上に出たら、リーたちはすぐに王城を出る。


街の郊外の人目に付かない場所で、ウーウは竜の姿に戻るつもりだ。


「ウーウさんは目が見えない。 だから俺が背に乗って、里まで誘導するよ」


「それがいいな。 なるべく地上から見えないくらい高く上昇してから移動したほうがいいと思う」


「分かった」


シューゴの提案にリーが頷く。


ウーウも「頼む」と短く同意する。




「出来ましたよー」


兄弟が呼びに来た。


ウーウの前に料理を並べていく。


シューゴはハツーナを起こしに行った。


「ハツーナさん、神官さん」


声だけでは目を覚さないため、肩を揺さぶる。


「ふ、ふぇ」


「おはようございます」


「キャーッ」と叫ばれたが、目は覚めたようだ。




 ウーウはリーと争うように食べ始め、シューゴがこの後の予定を話す。


「食べながら聞いてください。 まず、ハツーナさんとご兄弟には先に五階に移動してもらいます」


彼らにはそのまま休憩所で休んでもらう。


「ウーウ様は目が不自由なのでゆっくり行きます」


ハツーナたちへの説明はここまで。


 後はリーがウーウを六階まで連れて来て、通路で待つ。


シューゴが六階に下りてリーたちと合流し、ウーウたちが結界を通り抜けられたら、皆で地上に出るのだ。


あと一息である。



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