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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第五章 王都到着

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91・救出作戦

 

 竜との話し合いの後、シューゴは通路入り口脇に置いてきたハツーナと荷物持ち兄弟を迎えに行く。


「待たせてすみません」


「ホントに!。 いったいどうなってるの」


ハツーナは相変わらずシューゴに対して当たりが強い。


「三人は無事、見つかりましたよ」


シューゴはヘラリと笑って報告した。


「えっ」


荷物持ち兄弟は「それは良かった」と、ホッと息を吐き、「また役に立たなかった」とハツーナは悔しそうな顔をした。




 シューゴは三人を連れて移動しながら、ザッと説明する。


「魔物が発した霧のようなもので騎士様とお役人、それと案内役の斥候兵の三人は眠らされたようです」


調査員以外で無事な人がいたと話すと驚かれた。


魔物は今はいないと安心させた上で、眠った状態のままの三人を先に地上に戻すことにしたと伝える。


「え、大人三人を担いで運べるんで?」


荷物持ちの兄弟が心配した。


「ええ、なんとか」


シューゴはヘラリと笑う。


「確かに、この場所で三人を一度に目覚めさせるのは神官さんに負担がかかり過ぎますしね」


『神力』を使える神官はハツーナしかいないことになっているので、兄弟は納得してくれた。


ハツーナは悔しがったが、無事に地上に戻るという任務がある限り無理は出来ない。




 ウーウの檻の所に兄弟とハツーナを連れて行く。


シューゴは、皆には先ほど吹き荒れた魔力のせいでここにいた魔物たちは逃げたと話す。


「彼女が、調査員以外にも囚われていた方なんですが」


と、ウーウを紹介する。


いかにも貴婦人である彼女に対し、平民である皆は下手に話し掛けられない。


「申し訳ありません、奥様。 こちらの者たちも同行させて頂きます」


「分かった」


リーとの話し合いで、彼女も檻の中にいた者として地上へ運ぶことにしたのだ。




 人間の年齢でいえば中年くらいとはいえ、ウーウにそれなりの衣装を着せたら貴婦人になった。


「よくこんな貴婦人用の衣装を持っておったな」


「これは組合が用意してくれたものです」


シューゴはマスオルに頼んで貴婦人用の服を一式、用意してもらっていた。


 救出予定者に貴族のご婦人がいたので、もしも着替えが必要になったらと思って用意したものだ。


体格は資料で分かっていたが、怪我や体型が変わっていた場合も考慮したのが幸いし、ウーウでも無理なく着れた。


かなり煩い注文だったが出発には間に合い、リーに持たせておいたものを着てもらったのである。


なにせ、ウーウの服は何百年も前の服だったのであまりにも古臭い。


誤魔化すには新しい服が必要だったというわけだ。




 皆でウーウの檻から、眠っている状態の三人の調査員を運び出す。


本当に眠っているだけで無傷である。


檻の中ではあるが大切にされていたようだ。


 ふと見ると檻の中に巨大な卵が鎮座していた。


「うわ……これが竜の卵か」


人の背丈の倍以上はある。


シューゴはこの大きさをどうやって持ち出すか、頭を悩ませ始めた。


通路どころか、この部屋から出すことも難しい。


 悩む姿を見たウーウがクスクスと笑った。


「卵であれば、わちしが小さくして持ち運びすることは出来るぞ」


竜族には他のものに化ける魔法がある。


卵にはまだ自意識がないため、親であるウーウが代わりに行使することが出来るそうだ。


「それは助かります」


シューゴは安堵の息を吐いた。




 母親としては、早く卵を地上へ逃して孵化させてやりたかったのだろう。


「地下に流れたリーの魔力を感知して、何か問題を起こせば我々が来ると思ったんですか?」


と、シューゴが小声で訊ねる。


「う、うーむ」


ウーウは目を逸らした。


やはり小さな地揺れは彼女のせいだった。


あまりにも無謀な賭けである。


下手すれば彼女は魔物と判定されるし、卵は奪われてしまうかもしれないのに。


「我々が来て良かったですね」


シューゴは軽くウーウを睨んだ。




 先に三人の調査隊をシューゴたちが抱えて移動する。


力持ちのリーが一番重い騎士を、女性役人を責任者であるキクマが担ぐ。


華奢な斥候兵はシューゴが背負うことにした。


「すぐに戻ります」


「ああ」


シューゴが会釈し、ウーウは軽く手を振る。


 そして、リーとキクマ、その荷物になる者たちに触れて【隠蔽】を掛けた。


これで邪魔な魔物を無視出来る。


 シューゴは自身に【隠蔽】の他に【早足】を使い、細い通路を先頭で駆け抜けて行く。


キクマがその後ろに続き、リーは最後尾を警戒しながら追いかけた。




 五階の通路に出ると、シューゴはまず先日休憩した場所を探す。


「リー、悪いがここに穴を空けてくれ」


「承知」


リーが剣を閃かせる、と壁にポッカリと穴が開いた。


その穴に入ると、シューゴたちが下りる時に休憩した丸い小部屋で間違いない。


先日、下りて行った通路と、今、上がって来た通路は全く交わっていなかった。


そのため、リーに穴を開けさせて二つの通路を無理矢理繋いだのである。




 五階から上は魔物は出ないので、ここで一旦、休憩にした。


「う、うぅ」


シューゴが薬を与えるふりをして【解呪】と【回復】を掛けた斥候兵が目を覚ます。


「こ、ここはー」


「地下迷宮五階の休憩所です。 どういう状況か分かりますか?」


斥候兵の様子を見ながら話す。


「……あ、ああ」


(大丈夫そうで良かった)


シューゴはヘラリと笑って水筒を差し出した。



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