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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第七章 王都の生活

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117/152

117・不在の準備


 翌日の夕方、王宮から「二日後の朝、通用門が開く時間」を指定してきた。


「それはなんですか?」


マスオルから手紙を預かって来たサンタンが、いつもと様子が違うシューゴに首を傾げる。


「ちょっとね。 明後日から仕事で十日ほど留守にすることになったから、皆に伝えておいて」


「はいっ」


サンタンは頷き、三階へ上がって行った。




 夕飯の支度をしていると、リーが地下の浴室から戻って来る。


「ふう、今日も良い汗かいたー。 やっぱ強い相手がいると訓練も楽しいな」


エリエとは良い関係を築けているようだ。


リーは、テーブルに並べられた料理を摘みながら訊ねる。


「仕事、決まったの?」


シューゴが大きな鍋にいつものスープを大量に作っているということは、長期の仕事が入った証拠である。


「ああ。 二日後、早朝に王宮の裏門に集合だ」


「ん、了解」


リーは特に準備することはない。


多少の着替えや嗜好品の類いは【金庫】の中に保存してある。


せいぜい愛用の剣を念入りに手入れしてやるくらいだ。




 リーは一度部屋に戻り、酒瓶を手に戻ってくる。


シューゴがスープを作りながら焼いた肉を頬張る。

 

「チエルさんたちには伝えたの?」


「明日、干し芋作りを教えながら伝える」


「ふうん」と相槌を打ちながらリーは酒を呑む。


シューゴはパンとチーズ、ハムを家の魔道具の保存庫から【収納】に移す。


「足りる?」とリーが訊くと、シューゴは首を横に振る。


「パンは明日、買い足すよ」


「じゃあ、後は俺が行くよ。 ガラんとこだろ?」


王都の北にある牧場兼農場と縁があり、野菜や肉、乳製品を直接購入している。


「頼む」


「任せろ」


久しぶりの迷宮に二人は少しばかり緊張してきたようだ。




「おはようございます」


「うん、おはよう」


朝食後、リーはエリエと買い物に出掛けた。


 シューゴは保存庫から甘い芋を取り出して、作業台に乗せる。


「よく洗ってから、皮は丁寧に剥いて」


「はーい」


今日はサンタンも交え、五人での作業になる。


果物での作業手順とあまり変わらないため、早く終わり、作業場に吊るしておく。




 昼用の軽食を食べながら、シューゴはこれからの話をした。


「えっと、三人組には悪いが、しばらくは日帰りの仕事を選んでほしい。 なるべく毎日帰って来てくれ」


「はい」


シューゴたちが不在の時は庭の水やりなどの手入れは三人組に仕事として依頼している。


その分、家賃から差し引く。


「ロウは温室の薬草も見てほしい」


地下の浴室からの湯気を利用した小さな温室がある。


シューゴはそこで薬草を栽培していた。


「はい、任せてください」と、ロウは頷く。


少しずつだが薬の作り方も教えている。


「セカトは引き続き果樹の実の管理を。 サンタンは取り入れを手伝ってほしい」


「分かりました」「はーい!」


まだ木に残っている果実があるので、虫や鳥の餌にならないよう気をつけてもらう。


「一応、虫除けや鳥避けの薬は撒いてあるけど、天候によって効果が薄くなることもあるからね」


 食後の白湯を配る。


「チエルは三人の仕事を見て覚えることが仕事」


硬貨の小袋を渡す。


「これは私とリーが不在の間、必要なものがあれば遠慮なく使って」


「あ、はい。 預かるわ」


シューゴはニコリと笑って白湯を飲む。


       


「さて」


シューゴは辺りの気配を確認した。


気付かれないよう室内に結界を張る。


「実は、少しだけ今回の仕事がヤバくてね。 無事に戻って来られるか、分からないんだ」


「えっ」


三人組とチエルの顔色が変わった。


「それで、一つ、四人に私の秘密を教えておこうと思う」


皆の表情が強張る。


 シューゴは台の上に布の小袋を四つ並べた。


「手にとって見てごらん」


四人は恐る恐る小袋を手に取る。


「穴が開いてるよ」と、セカトが指を穴から出す。


「うん、そうだね。 で、これを入れると」


シューゴは取り出した硬貨をセカトに渡した袋に入れる。


当然、硬貨は転がり落ちた。


「もう一度、入れる。 よく見てて」


【収納】


シューゴが呟き、硬貨を入れる。


「ん?、お金がなくなってるよ?」


セカトが小袋をパタパタと振るが、何も出てこない。




「これが私の魔道具袋だ」

 

「え?、なんにもないよー」


セカトが不思議そうに小袋を裏返している。

 

「どこかに魔道具があるのですか?」


ロウがシューゴの服や周りを見ている。


チエルは真っ直ぐにシューゴを見て言った。


「もしかして、『神力』?」


世の中には不思議な力を持つ者がいる。


普通の人間には使えない力を。


「『神力』って、あの神官様や巫女様がお使いになるー」


サンタンが驚きの声を上げた。


シューゴは微笑み、ゆっくりと頷く。


「その通り。 私は『神力使い』だ」


「えええぇーっ!」


三人組は椅子から転げ落ちた。




 シューゴは四人に対して、絶対に口外しないことを約束させる。


特に三人組には、ハツーナや教会関係者に決して話さないことを誓ってもらう。


「え、ちょっと待ってください!。 なんで神職でもないのに使えるんですか!」


「リーも、少しだけど同じ力が使えるよ」


「なんでー」と混乱する三人に、シューゴはさらに追い打ちをかける。


「それで、これから四人に同じように『神力』を使えるようになってもらう」


シューゴはしばらくの間、三人組が落ち着くのを待つ。


チエルはそんな三人を横目に落ち着いていた。



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