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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第七章 王都の生活

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115/146

115・保存食作り


 翌日、朝食後、リーとエリエはサンタンを連れて訓練場に出掛けた。


家に残っていたのはシューゴとチエル、そしてロウとセカトである。


今日は庭の果樹から実を採る作業を予定していた。


現在、庭には二種類の果樹があり、熟す時期は少しズレる。


シューゴは三人に指導し、熟したものだけをまずは木からもぎ取り、丁寧に籠に入れてもらう。


「それが終わったら、そのまま食べるものと加工するものに分けるよ」


ほとんどは加工予定だが、手頃な大きさのものはそのまま食料としてシューゴの【収納】に入れた。


見栄えの良いものは、ご近所に配ったり教会に寄付したりする。




「こんなに立派な果物なら、ここで売るか、どこかの店に卸してもよいのでは?」


そんなチエルの提案は最もだが、シューゴは商売のために作っているわけではない。


「私が作ったものを売るのは農家や農園の方々を愚弄する行為だと思うよ」


農家出身であるシューゴは知っている。


農業を生業とする者たちは自分たちの作物を丹精込めて作っていた。


それを本業の片手間に家庭菜園で作ったものと一緒にされたくはないだろう。


「私は自分たちが必要とする分を作れたら、それでいいんだ」


「ごめんなさい、勝手なことを」


萎縮するチエルにシューゴは首を横に振る。


「いや、当然の疑問だよ。 いつも皆に言われているからな」


「そうなんです!、市場で売ってるものより美味しいのにー」


セカトはウンウンと頷く。


「干し果物については知り合い限定で販売していますよ。 僕たちはお手伝いの駄賃代わりに安くしてもらってますけど」


ロウは、西組合の荷物持ち兄弟や、高名な雇兵のキクマまでがたまに買いに来ることを知っている。


シューゴは果実そのままでは売らないが、加工したものなら希望者に売ることはあった。




 一階の倉庫兼作業場で皮や種を取り除いて、厚めに切った果肉を陽の当たる場所に吊るす。


果物に含まれる水分量により、二日から十日ほど干すことになる。


「これが見本。 このくらいに乾燥したら保管箱に移しておいてくれ」


シューゴは去年作った分を取り出して一人ずつに配る。


「美味しい!」


チエルが感嘆の声を上げる。


シューゴは満足気に微笑む。


「果物が終わったら、次は甘い干し芋作りが始まるから、また頼むね」


「はい!。 あれも美味しいです」


セカトがうっとりとした顔になる。




 干し芋自体は昔からある保存食だが、シューゴは父親が作っていた特に甘い芋を知っていた。


それをガラの農場で試験的に作ってもらっている。


数が少ないので市場には出回っていない。


シューゴは【収納】から干し芋を取り出し、チエルに味見させる。


「本当に甘いわ。 これは子供のおやつにしても人気が出そう」


「気に入ってもらえて良かった。 でも、これは苗を手に入れるのにとても苦労したから、よそには絶対に内緒だよ」


入手先がバレるとシューゴの身元にも関係してくる。


皆、激しく首を上下させた。




 王宮の呼び出しの日。


シューゴとリーは身だしなみを整え、組合長と共に馬車に乗る。


「依頼書の話は宰相閣下の耳には入れてもらった」


「ありがとうございます」


組合長はまだ渋い顔をしていた。


「なにせ、王宮以外からの依頼など前代未聞の話だからのぉ」


「お手数かけます」


シューゴは神妙な顔で礼を取る。


 やがて馬車は正門を潜り、シューゴたちは王宮の中へ案内された。


「こちらでございます」


会議用なのか、長いテーブルに質素な椅子が並んでいる。


十人くらいは座れるだろう。


位の高そうな文官に促されて座ると、お茶が運ばれてくる。




 しばらくの間、高価なお茶を堪能していると、宰相とルルレーシアが護衛の騎士と共に入ってきた。


シューゴたちは組合長の真似をして一旦席を立ち、礼を取る。


「座ってくれ」


宰相の言葉に素直に従う。


 茶器が片付けられ、すぐに人払いがされた。


残ったのはシューゴたち組合側三人と、宰相側はルルレーシアと高位文官、そして護衛騎士が二名、室内に待機している。


「今回の件、要望は聞いたが」


宰相の声は冷たい。


「何故、そこまで人数を減らす必要があるのだ?」


迷宮の底にある魔力石は、国としても重要なものである。


得体の知れない『収集屋』に何をされるか分からない。


見張りは付けたいということらしい。




 シューゴにすれば、何故、迷宮調査自体をその胡散臭い『収集屋』に依頼するのか分からない。


「国の事業として年に一度の恒例の調査であるならば、外部の人間に依頼する必要を感じません」


実際、代々王族の若者が護衛を引き連れて迷宮に入るのが恒例行事だった。

 

しかし、王族の若者が減り、現在該当する者が王弟の娘ルルレーシアしかいない。


我が儘で変わり者の姫で、手に負えないと同行者が年々減り、その結果、二年前には迷宮内で行方不明という事態になった。


人数を減らすことには不安なのだろう。


 よく見ると、宰相とルルレーシアは顔や雰囲気が似ている


(ほお、宰相閣下は王弟殿下だったのか)


親娘おやこなら過保護で心配なのは仕方ないなと、シューゴは納得した。


「要望が通らないなら、我々は辞退させて頂くだけです」


「それは困る。 お前たちの実力は認めておるのでな」


王命で従わせてもよいが、二人の実力なら姿を消すことも簡単に出来そうだった。



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