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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第七章 王都の生活

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114・顔合わせ


「参加者を、ルルレーシア様以外は我々だけにしていただきたい。 女性の護衛が必要なら一人まででお願いします」


荷物持ちはシューゴの魔道具で何とでもなるし、護衛はリーひとりでも十分だ、と組合長に話す。


ただ、女性王族であるルルレーシアの世話となると女性が必要になるだろう。


「ふむ。 そうなるとワシだけでは返答は出来ん」


組合長の顔には「また無茶な条件を出してきた」と、困惑の表情が浮かんでいた。




 シューゴは持参した書類を組合長の目の前に置く。


「調査依頼書です。 地下迷宮の十階を調べさせてほしい、という内容になります」


遅れて入って来たマスオルと共に組合長は首を傾げた。


「依頼書というと、組合から出す、あの依頼書かね?」


「それを自分で依頼して、自分で受領する、と?」


組合長もマスオルも理解出来ないという顔だ。


「だって、どちらにしても王宮の許可が必要でしょ?」


依頼がなければ勝手に調査は出来ない。


国からの依頼ならばルルレーシアが担当として同行するが、こちらからの依頼なら他の役人でも良いはずだ。


「理屈ではそうだがー」


「いやいや、シューゴさん。 王宮の地下迷宮は我々が依頼出来るようなものではありませんよ」


マスオルが狼狽える。


迷宮に関しては依頼出来るのは管理者である国の行政府か、所有者の王族だけだという。


「そうでしょうか。 最後まで読んで頂ければ分かるかと思いますが、これは収集屋としての魔力石の調査なので」


魔力石は年々需要が高まる魔道具の動力源。


魔力石は魔獣や魔物と呼ばれる魔族の死体から回収される。




 地上の森に棲む魔獣は人々の脅威でもあり、定期的に兵士組合や国軍が訓練わ兼ねて討伐していた。


そのため、護衛や討伐依頼で雇兵たちが手に入れた貴重な魔力石は、組合を通じて国が買い取っている。


「しかし、年々闇で取り引きされる量も増えているとか」


貴重な魔力石を加工し、魔道具にする技師たちは国に保護されているのにも関わらず、手に入れるのに苦労していた。


多少高くても、たとえ禁じられていても、闇から入手することもあると聞く。


「ルルレーシア様も魔力石や魔道具が思ったように手に入らず困っていますよ?」


「う、うむ、それはそうだが」


魔力石が王宮の足元で手に入る。


それは国にとって、かなり助かる話ではないか。


とりあえず王宮からの呼び出し日までには、この話は伝えてもらうことになった。




 一階に戻ると、チエルたちの姿は見えない。


リーはエリエがいるというので、地下の訓練場に行く。


「彼女たち、何か依頼を受けていましたか?」


シューゴが訊ねると受付の職員は首を振る。


「今度、『青』の採集の講座を受けてみると言って帰りました」


「えっ」


少し赤くなった顔を気付かれないように、そそくさと組合を出る。




 シューゴはなんとなく、坂道を歩いて東の教会へと向かう。


立派になった門を抜け、いつでも出入り自由の礼拝堂に入る。


そしてしばらくの間、壁に寄り掛かり、出入りするたくさんの人々やゆったりと動いている神職者の様子を眺めていた。


 ふと、いつものようにヘラヘラとした態度で、通りかかった子供たちに訊ねる。


「今日、ハツーナ神官様はいるかい?」


この教会の施設の子供たちだろう。


「せんせーはいつも忙しいの」


年長らしい女の子が警戒しながら答える。


「そっか。 ごめんね」


シューゴは、急いで離れて行く子供たちの後ろ姿を見送った。




「あ、お帰りなさい」


家に戻るとセカトとチエルが出迎える。


二人は庭の野菜や果物の世話をしてくれていた。


「ありがとう、助かるよ」


「えへへ。 果樹がそろそろ取り入れ可能かなと」


食いしん坊のセカトには干し肉や干し果実の作り方を教えている。


肉に関してはいつでも入手可能だが、果物は取り入れの時期というものがあり、その時にしか作れない。


「ああ、そうだね。 明日の朝一で少し採ろうと思ってるよ」


「わあい、楽しみ!」


「わ、わたしも手伝います!」


チエルも手を上げた。


「おねえさんも?」


セカトが不思議そうにチエルを見る。




 チエルとセカトは初対面だが、先ほど、チエルが一階の部屋に新しく入ったと挨拶はしたそうだ。


「この家の仲間だ。 私からもよろしく頼む」


シューゴからも紹介する。


「そうか、他の皆にも顔合わせした方が良いな。 セカト、皆に夕食を一緒にしようって伝えてくれ」


「うん、分かった」


その日の夕食は、二階の露台で魔道具のコンロを使って野菜や肉を焼いての小さな宴会となる。


「三階の貸し部屋に住んでます、僕はロウ」


「オイラはセカト、こっちの大きいのはサンタン」


「オレたちは同じ教会の施設で育った仲間で、今は三人で収集屋をしてるんだ」


チエルもエリエもどちらかというと美人である。


三人は張り切って自己紹介した。


「アタシはエリエ。 ずっと南にある国から来た」


「私はチエルよ。 国の西の方にあるアヅという街から来たの」




「あのー」


一番年下のセカトが無邪気に訊ねた。


「シューゴさんたちとはお知り合いなんですか?」


「まあ、アヅの街でちょっと、な」


リーは曖昧に答える。


しかし、チエルは、


「私はシューゴさんたちにはとてもお世話になったので、少しでも恩返しがしたくて来たの」


と、王都に来た理由をはっきりと口にした。



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