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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第七章 王都の生活

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111/140

111・友人になる


 翌朝、早くから庭に出ているシューゴの傍にチエルがやって来た。


「おはようございます」


「チエル、さん」


しゃがんでいたシューゴは立ち上がり、礼を取る。


「あ、あの?」


いきなりのことでチエルが慌てていると、シューゴは静かに話し出す。


「昨日はすみませんでした。 驚いたとはいえ、友人に対する態度ではなかったと反省していたところです」


シューゴは土いじりをしているほうが落ち着く。


そして色々と思い出し、申し訳ないことをしたと気付いたと言う。


「こ、こちらこそ。 手紙か何かで先に知らせれば良かったのに、ごめんなさい」


チエルも少し後悔している。


こんな再会は望んでいなかった。




 シューゴの口元がいつもの笑みを浮かべる。


「そういうわけで、ここからは懐かしい友人として接することにするよ。 二年前と同じとはいかないけど」


あの頃は娼婦と客の立場だったが、今は顔見知りの友人だとシューゴは言う。


「ううん、違うわ。 シューゴさんは私と私の家族にとっては恩人なの!。 だから、私はあなたの助けになりたくて王都に来たのよ」


ただの友人などではないとチエルは言い出した。


「ありがとう、チエルさん。 でも今はご覧の通り、特に困ってはいないんだ。 だから、キミには友人として滞在してもらって、何かあったらその時は力を貸してほしい」


アヅの街でのことは忘れて同年代の友人になる。


立場も関係も全て新しく構築し直す。


「それでどうだろうか」とシューゴに言われると、チエルは頷くしかなかった。




「じゃ、普通に話そうよ、チエルさん。 そっちの方が年上なんだから」


「ふふふ。 じゃあ、私も収集屋の後輩だから、シューゴも呼び捨てにしてね」


(やはり、この人は頭の回転が早い)


全て納得したわけではなくても、ちゃんと相手に合わせられる人だ。


シューゴは笑って頷く。


「分かったよ、チエル。 朝食を一緒にどう?」


「ええ、嬉しいわ。 本当にいい匂いでお腹がぺこぺこなの」


裏のパン屋から流れて来る匂いに、二人は顔を見合わせて笑った。




 二階の自宅で四人で朝食を食べ、その後、揃って組合に向かう。


朝の組合は大混雑が普通だ。


「すみません。 マスオルさん、いますか?」


受付で訊ねると奥の仕切りへと案内された。


「こちらでお待ちください」


四人掛けのテーブルのため、チエルとシューゴが座り、リーとエリエは護衛らしく仕切りの前に立つ。


遅れてやって来たマスオルはギョッとした。


「おっと、ここは狭かったですね。 二階の空き部屋を使いましょう」


そう言って別室に移動した。




 チエルの文書配達とエリエの護衛任務は無事受諾され、精算に回される。


他の職員が忙しいため、マスオルが全て対応し、飲み物まで出してくれた。


「チエルさんとエリエさんの資格証と報酬は夕方までにご用意しておきますので」


何せ今は混み合っている。


「私たちは構いません」


チエルはハキハキと答えた。


「それと貸し部屋の契約の件もこちらでやっておきます。 家賃は組合の報酬から差し引くことになりますので、ご了承ください」


「勿論です」


「お願いします」


チエルとシューゴは頷いた。




「さて、これからどうする?」


リーが訊ねるとエリエは、


「仕事を探さなくちゃ」


と、一人で受付に行こうとする。


「じゃあ、その前に、俺はエリエさんの腕前が見たいな。 そうしないとちゃんと合った仕事も紹介出来ないし」


リーがエリエを挑発するように言う。


「そうね。 でも、どうやって証明したらいいの?」


エリエは、男にしては小柄で自分とあまり背丈が変わらないリーに近寄って睨む。


「ここの地下に訓練場があるんだ。 そこで一戦、お願いしたい」


二人はお互いにニヤリと笑う。


「いいねー、行こうじゃないか。 案内しておくれ」


「勿論。 シューゴたちも見物に来るかい?」


リーはエリエを待たせ、シューゴに訊ねる。


「私はチエルたち用の雑貨を見に行くことになった」


「ええ。 シューゴに付き合ってもらってお店を回って来るわ」


いつの間にか、約束していたらしいシューゴたちを見て、リーとエリエは顔を見合せて微笑む。


「じゃあ、またな」


「ああ。 夕食には戻るよ」


四人は二手に分かれた。




 リーはエリエと地下に向かう。


「先生、こんにちはー」


「うむ」


すれ違う者が皆、リーに挨拶して行く。


「なんだ、あれは」


「あー。 組合の依頼で初心者に指導してんだ」


「へえー。 そんなのがアタシに負けたら面白いことになるんじゃない?」


エリエが煽る。


「ん?、そうなればな」


リーは軽くいなしながら訓練場に入った。


「ここじゃ真剣は使えないが、模擬剣は何にする?」


「見て分からない?」


エリエは腰に下げた長剣を叩く。


「あー、それなあ。 アンタ、それ使いにくくない?。 体に合ってないと思うけど」


リーの指摘にエリエはドキリとした。


実際、母国で兵士として働いていた時に使っていたのは長剣ではなかったのだ。


「まあいいさ、ほいっ」と、リーはエリエに木剣を投げる。




「でさ、勝ったら何か欲しいものとかある?」


自分も模擬の長剣を手に、リーは訓練場の真ん中へと歩く。


気付いた周りがザワザワと隅に逃げ始めた。


リーはここで何度も乱暴者たちを相手に暴れている。


「そうね。 家賃の全額免除なんてどう?」


「いいね!」


リーはニヤリと笑った。



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