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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第七章 王都の生活

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109・再会を祝して


 シューゴは自宅に戻って夕食の支度を始める。


今夜は四人分だ。


材料を【収納袋】から取り出す。


最近はずっと家にいるので作り置きはしていない。


食材だけはたまに朝市に出掛けて新鮮なものを買い溜めていた。




 調理を始めようとしたところへ、リーが駆け込んで来る。


「あのさ、とりあえずさ、俺とシューゴのベッドを彼女たちに貸そう」


「は?」


どうやらリーは、シューゴが女性たちを地下へ案内している間に家具屋へ走ったらしい。 


だが、ちょうど良いベッドがなかったと言う。


「シューゴはそれぞれを【清潔】にしてくれ。 俺がそれを【金庫】に入れて、下の部屋へ移動させるから」


「ああ、それは構わないけど」


急かされたシューゴが、二人分のベッドと寝具に【清潔】を使いながら訊ねる。


「しかし、リー、やけに積極的だな」


「いやだって、遠くからわざわざシューゴのために来てくれたんだし」


シューゴが「ふうん?」と顔を見ると、リーが目を逸らす。




「まあ、美人だよな。 あの褐色の肌のオネエさん」


エリエは、彼女が持っている長剣には似合わないほど筋肉質な体格をしている。


あの体なら大剣、もしくは戦棍メイスなどの鈍器が武器でもおかしくはない。


「だよな、あの筋肉!。 女性にしとくのは勿体無いというか、絶対に強いよ、あれは!」


「へー」


シューゴは珍しく興奮するリーをニヤニヤ顔で見る。


「コホンッ。 すまん、ちょっと気になるだけだ」


リーはどうやらエリエが気に入ったらしい。


彼女たちが地下の浴場に行っている間に、リーはベッドの設置を終える。




 自室に戻って夕飯の準備を再開。


「シューゴの飯は美味いけど、今日は歓迎会だからなあ。 俺が屋台で何か買ってくるよ」


「ああ、それなら任せる。 こっちはスープとパンだけ用意しておくよ」


「分かった!」


リーは張り切って出掛けて行った。


「しょうがない奴だな」


シューゴは苦笑を浮かべて見送った。


 しかし、今まであんなリーを見たことがない。


女性に興味がないのかと思っていたが、そうではなかったようだ。


「上手くいくといいけど」


ため息を吐き、ベッドがなくなった部屋を掃除するために寝室に向かう。




「は?」


そこには、いつの間にか二人用のベッドが一台、置かれていた。


一人用の部屋に二人用のベッド、しかも真新しい寝具付きである。


いくら、あまり物がないシューゴの部屋でも、当然、狭く感じた。


「ちょうど良い大きさのベッドが無かった」から、とリーは言った。


とりあえず、店にあったものを買って来た、ということか。


どうみても新品ではないので、売れ残りか、返品されたヤツだろう。


「ま、まあ、今さら部屋の中でテント使うわけにもいかないしな」


仕方ないと諦める。


ついでにリーの寝室も覗いてみたが、やはり同じように大きなベッドが置いてあって笑った。


「しかし、よくあんな短時間で行って来られたなあ」


そっちのほうが感心する。




 やがて陽も落ち、普段着に着替えたチエルとエリエが二階を訪れた。


シューゴはドキドキしたが、いつものヘラリとした笑顔で迎える。


「ようこそ、王都へ」


「いらっしゃーい!」


「お、お邪魔します」


「ほお、思ったより広いな」


まずは食事にする。


今日は特別の日ということで、リーがお薦めの果実酒を開けた。


「王都到着記念に!」


「再会を祝って」


「ありがとうございます」


「よろしくな」


チエルもエリエも喜んでくれたが、シューゴはチエルがあまり酒に強くないことを知っている。


 早めに料理を出す。


「この家の裏には庭が繋がっているパン屋があるので、そこから買ってる」


早朝から良い匂いがすると話す。


「それは早起きするにはいいかも」


チエルが楽しげに微笑むので、日頃、あまり飲まないシューゴも釣られて飲んだ。




 予想通り、チエルが真っ先に潰れた。


寝かせたまま残りの三人で話をする。


「お前さん、強いんだな」


エリエがシューゴの飲みっぷりに驚いている。


「あー、あまり飲まないけどな」


シューゴは酒を美味しいと思ったことがない。


どんなに飲んでも酔うことがないのは、幼い頃に受けた『神力』の治療のせいではないかと思っている。


勝手に酒を『体に悪いもの』と判定し、無害なものにして吸収するのだろう。




「俺は酒好きだけど、エリエさんは酒飲みは嫌いか?」


リーが割り込む。


「酒癖が悪いのは困るが、楽しく飲めるヤツなら歓迎だ」


嬉しそうにリーの頬が緩む。


「リーもあんまり酔ってるのは見ないなあ」


シューゴが知るリーはいつも楽しく飲んでいた。


「元々強い酒が好きだからなあ。 水と同じで良質なものは美味うまいし、気持ちが良くなる」


酔わないわけではないという。


 リーは新しい酒瓶を取り出す。


「強いけど、飲んでみる?」


「ふふ、受けて立つよ」


エリエと酒飲み対決が始まった。


「私は遠慮する。 チエルさんを部屋に運んでおくよ」


「いいよ、俺が行く」


リーは、筋肉の無いシューゴには無理だと分かっているので、サッとチエルを抱き上げた。


「お願いね」


エリエは微笑み、シューゴは残念そうに見送った。




 扉が閉まると、エリエはシューゴに向き直る。


「なあ、ちょっとだけ話してもいいか?」


「はい」


改めて向かい合う。


「アタシ、あんたに文句が言いたくて来たんだ」


「はあ」


二人の顔からは笑顔が消えていた。



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