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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第六章 王宮との関わり

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104・報酬の使い道


 シューゴたちは翌日、東の職業組合に褒賞の受け取りに行く。


「こんにちは、マスオルさんいますか?」


受付に顔を出す。


「あっ。 聞いてます、こちらへどうぞ」


と、すぐに別室に案内される。


「組合長、お客様です」


何故か、組合長の執務室だ。


「来たか。 待っておったぞ」


「昨夜は先に帰ってしまい、すみません」


シューゴは、ついでに王宮警備騎士の世話になってしまったことを謝罪する。


「いやいや、あれはもういいんじゃよ。 あの姫はいつも問題を起こすので有名なんでな」


「そうなんですねー」


お互いに苦笑する。


(いや、そんな奴を迷宮に入れるなよ)


シューゴは心の中で盛大に愚痴った。




 王宮からの褒賞は、シューゴとリーには同額を用意されていた。


組合に預けるように頼まれる。


「いや、俺は全部自分で管理するんで」


リーは里に仕送りするために全額を受け取る。


ウーウのこともあるので、一度、里に戻るつもりだ。


「シューゴくんはどうするかね?」


「えっと。 使い道でご相談したいことがありまして」


「なんだね」


「寄付、出来ませんか」


「ふむ。 どこにだね?」


「教会です」


「ほお」


シューゴはハツーナのいる東の教会に寄付を考えていた。


「確かに、あそこは近年、寄付が少なくて建物の修繕も追い付いていないようじゃが」


しかも、治療院の他に子供たちの施設もあるため、予算のほとんどはそちらが最優先になる。




 王宮からの褒賞を受け取るのは殆どが個人だが、神職はそのまま教会に寄付するそうだ。


ハツーナにはすでに肉親はおらず、教会施設が家のようなものなので不満はないだろう。


「私は東教会だけに寄付したいと思いますが、西と中央にもした方が良いですか?」


しかし、神職ではないシューゴが寄付すると、他の者たちにも寄付をしろと言い出す教会が出てくるかもしれない。


「なので、内密に寄付したいのですが」


シューゴはそう相談した。


「でも、西と中央は金には困っていませんよ」


マスオルが顰め面で言う。


組合長は、シューゴの気持ちはありがたいと言いながら、


「では、こういうのはどうじゃろうか」


と、違う提案をしてきた。




 組合長は、ハツーナが自分のいる東の教会に寄付したくても全額は無理だろうと言う。


王宮の宴に教会幹部が来ていたので、他の教会にも渡さなければならないらしい。


「じゃが、東の教会の修繕は、その金額では足りない」


東の教会本体と治療院、子供たちの宿舎を含む施設。


ぐるりと囲んだ塀も痛みが目立つ。


「そこで、足りない分をシューゴくんからの寄付で補う。 勿論、教会にもハツーナ神官にも内緒でな。 予め、修繕する業者とこちらで決めておく」


「足りますか?」


シューゴが心配そうに訊ねる。


「さすがに二人分の褒賞なら十分じゃよ」


「良かった」とシューゴは微笑む。


「では、それでお願いします」


うけたまわる」


余った分はシューゴの組合口座に入れておいてくれることになった。



 

 組合を出るとリーはシューゴに「里に行って来る」と告げる。


魔力石の指輪のお蔭で、リーは馬車を使わずに里の山に行けるようになった。


「うん、気を付けて」


飛べるとはいっても、まだまだ不安定である。


「なんとかなるさ。 シューゴはどうするんだ?」


「こっちこそ、なんとかなるさ。 しばらくは庭の手入れで忙しいだろうし」


王都の外に出るような仕事はしないと、リーと約束する。


「シューゴは時々、予想出来ないことをやるからな。 絶対、危ないことはするなよ」


「あははは。 リーは心配症だな」


そんな会話をしながら、二人は市場に向かう。


リーは里帰りのお土産を買いに。


シューゴは庭仕事に必要な道具や苗木を探しに。


 翌朝、リーは北の門から出てガラの農場に向かい、人目がなくなったところで空へと舞い上がる。


シューゴは庭仕事をしながら、空を見上げ、リーの無事を祈っていた。



 その後、シューゴたちの周りはジワリと変化していく。


「ねえ、どうなってるのよ。 東の職業組合をずっと張ってるけど金髪で背が高くて、若い男なんて来ないじゃない」


「おかしい。 最近、黒髪の小僧も来てないな」


王宮での地下迷宮の祝賀会が終わった頃から、東の組合には知らない顔が増え、そんな会話が飛び交っていた。


「あのぉ、マスオルさん。 またシューゴさんらしき人を出せって貴族の方が来てます」


受付の女性がマスオルに伝える。


「そんな人はいないと言って放っておきなさい」


「は、はい」


マスオルは知っていた。


リーは故郷に里帰りしているし、シューゴに関しては庭仕事で忙しくて家に篭っている。


何しろ、王宮からの褒賞は一年は遊んで暮らせる額だ。


シューゴの分は組合長が調整して、秘密裏に教会の改修費用として寄付したが、当分、仕事がなくても生活出来るだけの残金はあった。




 あれからシューゴは毎日、用事があれば貸し部屋の三人に頼み、裏のパン屋の老夫婦とおしゃべりしながら庭の整備をしている。


「そうそう、シューゴさん。 あなた、誰かに似てると思ったら、昔、教会の治療院にいた巫女さんだったわ」


パン屋の老夫人に言われてシューゴは微笑む。


「とっても綺麗な人だったのよー。 大恋愛で結婚して田舎に行ったそうだけど」


「あはは、それは光栄ですねー」


母親のこととは知らず、噂話を聞き流す日々を送っている。



次は間話です

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