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神力使いの収集屋  作者: さつき けい
第六章 王宮との関わり

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101・姫と騎士


 謁見の間の次の部屋から、組合長たちは控え室に案内され、シューゴとリーの二人は違う部屋に連れて行かれる。


案内した騎士は最初、シューゴだけを連れて行こうとしたのだが、リーが護衛だからと頑なに同行を主張した。


「はあ、分かりました」


今、王宮の中で騒がれるのは不味いので仕方なく許可されたようだ。


シューゴは案内の騎士が警備兵を呼ばないことに違和感を覚えた。


「こちらでございます」


部屋に入った途端、シューゴは顔を顰める。




 そこにいたのは、上品なドレスを着た若い女性と、その護衛らしい騎士二人だけだった。


お茶の配膳を終えると侍女たちも退室していく。


座れと指示されたが、その前に。


「えっと、申し訳ございません。 ここは控え室ですよね、他の方々は?。 あなた方はどちら様でしょうか」


シューゴが訊ねると、女性は扇子で口元を隠して答える。


「あら、覚えていないの?」


「はい、申し訳ございません」


実は、朧げに覚えてはいるが、面倒なので知らないことにした。




 二人は調査隊だった姫役人と護衛だ。


助け出した時は眠っていたので、彼女たちは救助隊員の顔など知らないはずである。


シューゴも眠っていた貴族の顔などハッキリ覚えていない。


「まあいいわ。 助けてもらったことだし、少し興味があって来てもらったのよ」


簡単に自己紹介をする。


王弟の一人娘ルルレーシアと、幼い頃より仕えている護衛騎士カーマルー。


興味津々の姫に対して、騎士の方は渋い顔をしていた。




 座るように促されて、シューゴがふかふかのソファに座ると、リーは椅子の後ろに立つ。


シューゴを睨み付ける騎士を牽制するように。


「お前たちは東の組合長からの推薦で来た雑用係だそうだな。 様々な魔道具を使い、我々を地上まで運んだと聞く」


カーマルーが不機嫌そうに訊ねる。


おそらく、キクマから聞いたのだろう。


特に間違ってはいないので「はい」と頷く。


「かなり稼いでいるそうね」


何故か、ルルレーシアが目を輝かせていた。




 シューゴもリーも、魔道具コンロ、迷宮用の御手洗と洗面台の箱等等、大量に入る魔道具袋を持っている。


魔物を避け、姿を消し、足場の悪い細い通路も走ることが出来る魔法を発動する魔道具まで持っている。


ということになっていた。


「それだけの魔道具を扱うには、かなりの量の魔力石が必要なはずだ。 平民風情がどうやって調達したのか」


カーマルーが眼光鋭く睨み付けてくる。


(はあ、それが目的か)


大量の魔力石、または魔道具。


それこそ、王族なら簡単に手に入りそうなものだが。


「申し訳ありません。 我々は組合の仕事の範囲で入手しておりますので、詳しくは組合長にお訊ねください」


シューゴは組合に全てを丸投げした。




「ハアーッ」


ルルレーシアが大きく息を吐く。


「お父様も行政府の役人たちも分かっていないのよ。 高い物にはそれなりの価値があり、研究も進むというのに」


彼女は以前から入手しようとしていたようだ。


しかし高額なため許可が下りない。


「ええ、ええ。 魔物を察知出来る良い魔道具さえあれば、私もあのような醜態を晒すことなどなかったものを」


カーマルーも悔しそうに拳を握りしめる。


 迷宮でウーウのいた広間に入った途端に霧が立ち込め、眠らされた。


護衛にすれば悔しいだろうが、シューゴから言わせれば、優秀な斥候兵がついていたのに何故、彼を先行させなかったのか意味不明だ。


彼まで一緒に眠らされていたのは、危険を知らせる前に誰かが先走ったのだろうと予想出来る。

 



「話がそれだけでしたら」


そろそろ暗くなり始めたので、宴が始まる。


シューゴは退室の許可を求めた。


「救助してくれたからといって、わたくしがあなたたちを特別扱いすると思ったら大間違いですわよ」


何故か、また訳の分からない話になる。


別室に呼んだのに特別扱いしたわけではない、と言いたいらしい。


「はあ、畏まりました」


理不尽ながら、シューゴは立ち上がり深く礼を取る。


「お助けして申し訳ございませんでした。 では、失礼いたします」


終わったと思い、退室しようとするが。


「待って」


と、止められた。




 姫役人はシューゴに触れるほど近寄り、ジロジロ見回す。


護衛騎士が睨んでくる。


「あなた、誰かに似ていると言われたことはない?」


また国王と同じようなことを訊かれた。


「分かりません。 先ほども陛下に同じことを訊ねられましたが、それほど似ている方がいらっしゃるのでしょうか?」


逆に訊いてみる。


王族二人が言うのだから、その相手も王族、もしくはそれに相当する高貴な人間だろう。


平民のシューゴに心当たりなどあるはずがない。


「どこかで見たような気がしただけよ」


ルルレーシアは顔を逸らし、椅子に戻る。


 シューゴたちはようやく部屋を出ることが出来た。




「姫様、あのような下賤の者に近寄るのはおやめください」


二人っきりになると騎士カーマルーは不満を露わにした。


「あなたはわたくしが誰と話しても嫌な顔するじゃない」


「そんなことはー」


「迷宮でも、あの斥候兵がわたくしを止めようとしていたのを、あなたが排除したから変な方向に行ってしまったのよ?」


グッと言葉に詰まった騎士はブツブツと呟きながら顔を逸らす。


それでも解雇されないのは、幼馴染ゆえかもしれない。



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