第二十一話
オフ会の当日。私は西武線の池袋駅地上改札を出た所で待っている。するとイケメンが逆ナンされている。ショートヘアに高身長。黒のタートルネックセーターにボトムスも黒のスキニーパンツで統一されている。そのイケメンは困りながらも断っているようである。モテるって大変だな。他人事のように思っているとそのイケメンがハスキーボイスで声をかけてきた。
「アニエスさんですか?」
「え?」
目を見開きイケメンの方に顔をやる。中性的な顔立ちをしていてモテるのにも納得がいく。最近のアイドルも中性的な顔をしていたりするしね。
「はい……えっと?おにおんぐらたんさんですか?」
するとイケメンは微笑み肯定する。
「そうです。おにおんぐらたんですよ。アニエスさんは身長が低くて可愛らしいですね。まるで小動物みたい」
褒められたのだろうか。何となく照れ臭い。照れを隠すためにこの後の予定を聞いてみる。
「どこに行きます?」
「そうですね……サンシャインシティはどうです?」
「じゃあ、お任せします。この近辺はおにおんぐらたんさんの庭みたいなものでしょうから」
そして、サンシャインシティに向かう。その途中で女性に声をかける男性、いわゆるキャッチがいた。私は声をかけられたくないと萎縮する。すると、おにおんぐらたんさんが察したのか、私の肩を引き寄せる。私はその引き寄せられた腕にしがみついた。すると何かムニっと効果音が出そうな感触がおにおんぐらたんさんの胸のあたりに感じる。周囲のキャッチが気にならないくらいに混乱する。え? まさか、おにおんぐらたんさんって女の人? 私の頭の上に疑問符が沢山浮かんだ。
サンシャインシティに着くと、おにおんぐらたんさんの案で、自己紹介がてらに喫茶店にでも行きましょうと言うことになった。まあ喫茶店と言ってもスタバです。
おにおんぐらたんさんはコーヒーで、私は抹茶のフラッペチーノにした。席に座ると早速おにおんぐらたんさんが自己紹介をしてきた。
「僕はハンドルネーム、おにおんぐらたん。本名は如月睦。まあ多分さっき腕を組んだ時に気づいたと思うけど、僕は女性です。まあ男性に生まれたかったのでこういう格好をしているのですけどね」
なんか気まずいというか申し訳ない。謝るように私も自己紹介をする。
「なんかすみません! わ、私の名前は蓮見湊。おにおんぐらたんさんとは逆で女性に生まれたかった男性です」
最後の方は恥ずかしさで小声になり、フェードアウトした。
「え? え? 見た目可愛い女の子にしか見えないけど、男性?」
「……はい……俗にいう男の娘というものでして」
驚きはされたけど、引かれてはいないようだ。むしろ逆に興味を持たれた気がする。
「その髪はウィッグ? それとも地毛?」
「地毛です。髪型自由の仕事を選んでいるから伸ばしているのです」
するとおにおんぐらたんさんが、私の髪に手を触れてさらりと撫でた。
「綺麗な髪ですね」
思わずどきっとしてしまう。
「あ、ありがとうございます」
おにおんぐらたんさんが、ぷっと吹き出した。
「お互いにアバターとは性別が逆だったのですね。なんかちょうどよかったです」
「ちょうどよかった?」
「いえ、こっちの話です」
おにおんぐらたんさんは、話を誤魔化す様にコーヒーをすすった。




