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VRMMORPG『藤谷葵ver.』  作者: 藤谷 葵


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第一話

 私の名前は蓮見湊はすみみなと。年齢は22歳。大学を卒業して、新卒で中小企業に入社したばかり。一人暮らしをしており、趣味はゲームで主にMMORPGを満喫している。

 2024年10月1日。《エターナル・リルミナ》のサービスが開始される日だ。事前にゲーム機のヘッドセットは購入してある。《エターナル・リルミナ》は、最近出始めたVRMMORPGのゲームの一種なのだ。

 そして、《エターナル・リルミナ》を買った私はうきうきしながら、取扱説明書に目を通した。

読み終えると、白いヘルメットのようなヘッドセットを手に取る。ヘッドセットは実際にはヘルメットのような前が見える設計にはなっておらずに、すっぽりと顔も隠れる。顔の目の前に来る部分には、《視線入力システム》となっており、小さな画面がある。

 ヘッドセットの電源を入れる。LEDのランプが緑色に点滅している。それから、ヘッドセットに《エターナル・リルミナ》のソフトを差し込む。

 点滅が終わると読み込みが完了した合図として、LEDの点滅はそのまま点灯になる。

 読み込みが完了したのを確認して、私はベッドに横になり、ヘッドセットを被る。

 《視線入力システム》でゲームスタートのボタンを押す。


 まずは、名前を設定。自分のネーミングセンスがないので悩む。長考したのち、『アニエス』にした。

 そして、アバターの設定。女性型のドワーフを選んでみる。ドワーフと言えば背が低く、ずんぐりむっくりな体型である。それはいただけない。どうせなら可愛いアバターにしたいと思い、細かなカスタマイズに悪戦苦闘する。

 かかること30分。私のアバターが出来上がった。美少女になった。いや、元々背の低いドワーフをスリムにしたので、美幼女になってしまった。まあいいかと思いつつ、ゲームを進める。職業はアンマッチに、回復役の僧侶にしてみた。美幼女が回復とか癒し系ですね。

 次にスタート地点を決める。草原だとありきたりなので、山岳地帯を選び、ゲームの世界へと飛び込んだ。まばゆい光に包まれて、目を閉じた。

 身体の感覚を感じるようになったので、そっと目を開ける。私は広場に立っていた。

 辺りを見渡すと圧巻とした城が目に飛び込む。サービス開始前から、あちこちのサイトの画像のあった山岳地帯のお城。なんでも山を1つ丸ごと掘削して、城下町になっているらしい。お城なんて大きな一つの岩を削って出来上がったという設定になっている。

 そのお城は黒曜石で出来ているらしく真っ黒な光沢を放ち、輝いている。他のプレイヤーも辺りの景色に見惚れている。他にログインしてくるプレイヤーも増えていき、賑わってきた。


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