表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DUNGEONERS:LIFEPATH  作者: 澁谷晴
1:Gavin Lau Wadi
36/164

第36話 その怪物

 その若者はロドー外周家第三子、守人頭アスランと名乗った。積もる話もありましょう、と彼は茶に誘った。


「長旅でお疲れでしょう。この地は苛烈です、スゥレ様の(かいな)に抱かれておりまする故」


 門前町は当然ながら寺院が多く、同じ位に道場と思しき、大勢の掛け声の響く建物も多かった。茶店に入り、菓子などを頼んだところでアスランがまず口を開く。


「既に〈夜居〉の団員を辞したとのことでしたが、こたびは迷宮守りの任務でしょうか、それとも修行ですかな? そのような魔剣、以前はお持ちになっていませんでしたね」


 運ばれて来た焼き菓子を口に運び、アスランが問うた。ガヴィンは直截に、自分は過去の記憶を失ったのだ、と告げる。身に帯びていた手掛かりは、ロドー家からの感状のみだった。そのために、詳細を明らかにしようとこの地に舞い戻ったのだ。


 説明を聞いて、アスランは神妙に頷く。


「迷宮病の症状でしょうか、記憶喪失というのは少なくありません。分かりました、あなたはこの地にとっての恩人、過去を取り戻すために助力いたしましょう。この私の知っている限りをお伝えします」


 ガヴィンはアスランに、仕事中ではなかったのか、と尋ねると、今日は休暇で、一日中迷宮に潜る予定だったが、ガヴィンに協力するほうが大事だとの答え。重ねて礼を告げ、自分は以前、どのような立場としてここに来たのか、と聞いた。


「あなたは〈夜居〉の隊長として、隊商の片道護衛でこの地を訪れました。その際は魔剣は未だ帯びていませんでしたが。部下からの信頼は厚く見えました、あなたの実力を信頼しているようでしたね。もちろん私も、話しただけでそれはすぐに分かりました。自信に満ち、堂々としていて、己の力の使い方を全て把握しておられました」


 アスランや僧兵たちはガヴィンを気に入ったようで、迷宮の警備任務の手伝いなどを依頼し、ひと月半ほど滞在した。再び隊商の護衛を受け、この地を出て行く直前にその怪物が〈銀狼洞窟〉の浅い階層に突如出現した。


「あなた方は他の迷宮守りや守人と共に怪物に挑み、その大部分が敗れ、喰われていきました。恥ずかしながらこの私も一矢報いたものの、致命傷を与えるには至りませんでした。ガヴィン、あなたがいなければ私は死に、この門前町も壊滅の憂き目に合っていたやも知れません。私としては、感謝してもしきれないのです」


 その当時、ラップローヴはまだ持っていなかったにもかかわらず、それほどの魔物をどうやって退治したのだろうか? 自分には他に何らかの力が備わっているのか。それを尋ねようとしたとき、アスランは笑みを浮かべ、言った――


「それにしても本当に恐ろしい敵でしたよ、なぜあのような浅い階層にいたのか、今でも分からぬままです――あの〈変容する獣〉は」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ