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DUNGEONERS:LIFEPATH  作者: 澁谷晴
1:Gavin Lau Wadi
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第35話 再会

 僧院領に近づくにつれ、砂漠は過酷になっていった。太陽が数倍に膨れ上がり、苛烈に熱を浴びせかけてきているように思えたし、魔物の数と個体ごとの脅威度も増した。砂嵐もひどく、ガヴィンは個人用の結界符を持っていたが、気休めにしかならなかった。それでも、魔剣ラップローヴの加護のためか、剣を振れないほどに衰弱することはなかった。


 僧院領を目指す大隊商に同行した。彼らは腕利きの護衛を連れており、その中に〈夜居〉の傭兵もいた。ガヴィンは彼らに対し、自分はかつて〈夜居〉に所属していたはずだと申し出たが、知らないと言われた。


「あんたがどれほど前に所属していたか知らんが、既に脱退したという扱いになっているのではないか? 何かを持ち逃げしたり、任務の途中で脱走したなら別だが、何かの仕事を終えたタイミングで抜けたのなら、こちらから言うことはない」


 〈銀狼洞窟〉で何らかの任務を果たしたはずだ、とガヴィンが言うと、傭兵は驚いた様子で、


「何だと? まさかあの惨劇の生き残りがいたのか。いや、おれは詳しくは知らない。聞いた話じゃ、何か強大な魔物が暴れまわったらしいけどな。まあ、いずれにしろ、また加入したいのなら支部へ行け」


 ガヴィンは、今は迷宮守りとして動いているので、加入するつもりはないと答えた。〈銀狼洞窟〉は数年前に件の恐るべき怪物が現れ、多大な犠牲を出して討伐されたあと、閉鎖されたままになっているらしかった。


 だが、どのような怪物だろうと、今のラップローヴがあれば一撃で――と考えかけて、ガヴィンは自戒する。命中すれば、の話だ。それに魔剣を無効化したり、複数で襲い掛かってきたり、といった相手も十分に想定できる。本当にラップローヴが自分を使用者として規定し、不死の力を得ているとしても、それで勝てるとは限らないのだ。


 嵐のように吹き荒れる砂の向こうに、厳めしい姿の巨像が見えてきた。スゥレ――慈悲ではなく試練を与える、太陽の苛烈な面を象徴する神だ。ようやくロドーに到着したのかと思ったら、ここはまだ最も外縁の入り口に過ぎないという。九大迷宮の内部への挑戦を許可されるのは、最低でも上級からの凄腕の迷宮守りのみだ。


 スゥレ像の足元の、膝下にも届かない門を――それでもそこいらの高楼が縦にいくつか並ぶほどだ――くぐる際、僧兵たちの中からまだ歳若い人物が姿を現し、声を上げた。


「あなたは、ガヴィンではありませんか! ああ、またお会いできるとは」

 

 過去無き獣人の迷宮守りは、初めてかつての自分を知る者と出会えた。だが、それもまた魔剣によって引き寄せられ、繋ぎ合わせられたものかも知れない。だが、もとよりこの世界(エノーウェン)は、砕け散った欠片の寄せ集めだ。一角牛の引く牛車から降り、ガヴィン・ラウ・ワーディは恭しく、頭を垂れた。

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