表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DUNGEONERS:LIFEPATH  作者: 澁谷晴
1:Gavin Lau Wadi
23/164

第23話 魔女見習いナシラ

 キーラから獲得できたのは奇しくも、麻痺の効果を無効化する指輪だった。呪術師ギルドで鑑定してもらったところ、先に買った首飾りよりも強力であり、そちらを売却し賞金と合わせて、当面の生活費と旅費はどうにか工面できた。


 そのころ出会った迷宮守りの中に、〈薄暮街のナシラ〉という少女がいた。ベイリンのダグローラ広場の公社と、呪術師ギルドの両方に出入りしている修行中の魔女見習いだった。


 〈薄暮街〉とか〈夕刻街〉と呼ばれる場所は世界中にあり、魔力灯の光とその階層に留まっている魔力のために、一日中夕方のような雰囲気となっている。そういった場所では特有の魔術や魔法薬が生まれ、出身者の体質にも影響を及ぼすこともある。


 魔女と呼ばれる者たちも世界各地に存在し、貴族階級を指すフォルディアの魔女(ソルシエール)や、異端者の呼称であるソラーリオの魔女(ストレーガ)という例外もあるが、概ね徒弟制度を有する伝統的な女性の薬師や付与術士、祈祷師などを意味する。今日の帝国における魔女(ウェネーフィカ)は、薬師と占い師の側面が強い。彼女たちは〈毒蛇の時代〉における毒薬と治療薬の技術や、錬金術師たちの御業の後継者であり、ナシラもまた、日々雑用と同時に修行を続け、迷宮における実戦もこなした――帝国の魔法使いは総じて戦魔道士(バトルメイジ)たることを旨としている。


 ナシラはカプリムルグスの知り合いであり、彼の〈山羊の乳絞り〉という名――ヨタカを意味する語――に共感を抱いていた。現在、この見習いは、魔術を用いたチーズの熟成技術について、乳絞りから学んでいたからだ。彼女の師匠は、迷宮や旅路のための兵糧作成に長けた一族らしかった。


 あるとき、食堂でナシラと出くわし、隣にいた師匠と思しき老婆が突如ガヴィンを見つめ、「お前さん、魔術に興味はないかい?」と尋ねた。


 ガヴィンが、戦闘に使えるものが欲しいとは思っていた、と答えると、老魔女はナシラを指し、「なら、この子に教えさせよう」と宣言する。


「ええ!? 師匠、何言ってるんですか!?」


「こちらの兄さんは結構な才覚の持ち主だよ、ナシラ。何も大魔道士にしろってんじゃないよ、基礎的な技術だけでいいんだ。お前さんのためにもなることだよ」


「だけどチーズ作りが忙しくて――」


「ふん、そっちは一旦お休みさ、まだまだ客に出せるようなもんじゃないし、及第点には程遠いからね。さあ、この兄さんと迷宮へお行き、今からは実戦をこなすんだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ