1/42
プロローグ
始まりは20年前、一人の男が古代遺跡で聖杯を見つけたことだった。
その聖杯はお世辞にも綺麗とは言い難く、不恰好であると言う人もいたが、なんとも言えない奇妙な魅力があった。
男は、その魅力に取り憑かれた様に聖杯を持ち帰り、古代ラタ族の遺物として世間に発表した。
聖杯が世に出された後、摩訶不思議なことに、同じようなラタ族の遺物が沢山見つかった。
着ると透明なる衣、水が浄化される壺、炎を纏う剣、まるで鳥の様に空を飛べる盾•••。
人々は遺物の不思議な力に魅了され、現在では生活に根強く結びつき、欠かせない物となっていった。
より良い遺物を求め、人々は世界中を探し回る。
遺物を世に広めたきっかけ、あの不思議な聖杯は
———"はじまりの聖杯"と呼ばれることとなった。