タイムトラベラー 〜おばあちゃんに会いに〜
華日 夏恋、14歳だよ!よろしくっ。
実はね、私学校でいじめられてるの。最初は悪口を色んな人に言われる程度だったんだけどね。
それがエスカレートしていってこの前は一人体育館倉庫に閉じ込められたっけ?理科の実験でも無視される。
最初はさ頑張って反抗したりしたけど親友だと思ってた唯一の『さーちん』にまで裏切られてもう無理なんだ。
それで今はね…行けないってわかってるけど、今は星になったおばあちゃんに会うために過去に戻れる
おまじないしてるの。これで4回目。これでできなかったらもう諦める。
「おねがい!おばあちゃんがいた時に戻らせて!もう一度だけ!おばあちゃんに抱きしめてもらいたい。」
その瞬間にフワッと体が軽くなった。目は開けれなくて、海に沈んでいってるみたいな感覚。
何分こうしてたんだろう。次に目を開けたときは公園のベンチに横になっていた。
「えっ…。ここどこ?」
手に違和感がある。見てみるとスマートウォッチみたいなものがついていた。
数字が書いてある[3:23:58]58が57に変わった。この瞬間ピンときた。
この時間、つまり3日と23時間と58分がこの世界に私がいられる時間なんだ。
スマホを見たら今から10年前の今日、つまり私が4歳の時だ。住所はうちのマンションの近く。
「そっか!この大きな公園が壊されて今私の住んでるタワマンができたんだ。」
ここからおばあちゃんの家は歩いて5分もかからない。今すぐ走っておばあちゃんに飛びつきたい。
でも、今のこの私を見ておばあちゃんは私が私だと分かるだろうか。きっとわからないと思う。
今の所持金は3万円。4日過ごす程度なら全然間に合うはずだ。とりあえずネカフェに行ってから考えよう。
ネカフェのくらい一室の中でカップラーメンを一人ですすってる。
「何やってんだろ私。お母さんのご飯が食べたい。現代の私は今どうなってるの?」
ピロン ピロン ピロン…
「ん…朝か…。あと何時間っ!」
「あと2日と20時間。」
何もすることのない私はとりあえずおばあちゃんの家に行ってみることにした。
ピンポーン
「ごめんください。」
その後2回押したけど中からは何も反応がなかった。
その後向かいの広場のベンチでサンドイッチを頬張りながらおばあちゃんが帰ってくるのをまった。
4時間後ようやくおばあちゃんが帰ってくるのが見えた。
「おばあちゃん…。」
サンドイッチをすぐに置いておばあちゃんめがけて走った。けど次の瞬間4歳の頃の私が後ろに見えた。
きっと東京から帰省して今日は遊んできたところなのか、14歳の私は今にも泣きそうなのに
4歳の私はまるで満開のひまわりのような満面の笑みだ。
おばあちゃんの家には4歳の私と母が泊まっているからおばあちゃんにだけ会うことができない。
母と会ったりするととてもややこしくなる。そうなるとおばあちゃんとは二度と会えない。
もう時刻は8時を超えている。私は一人のネカフェの部屋に戻った。
「残り2:12:15…」
眠れない。あと2回眠ったらもうこの世界とはさよならなんだ。
そんなことをぐるぐる考えている間に私は眠っていた。
?:「今はすっごい弱気だね〜。2日ぐらい前は主様も驚くぐらいすっごい願望が強かったのに!」
夏恋:「あなたは誰?」
白いワンピースみたいなのを着て髪は金髪パーマのショートカットでアニメみたいに天使の輪が浮かんでる。
?:「おしえな〜い。ま、あえて言うなら時空の使いみたいな?」
夏恋:「へえ〜?」
時空の使い:「一つだけアドバイスしてあげる。もう君に残された時間は1日と21時間ぐらいかな?」
夏恋:「え!なんでそんなに寝てるの。そんなんじゃおばあちゃんに会えない。」
時空の使い:「睡眠時間がいつもより多いのは時空を超えてるから。普通じゃこんなことありえないでしょ?」
夏恋:「うん…」
時空の使い:「手短に話すね。質問は一切受け付けない。おばあちゃんは君がおばあちゃんを
思っているのと同じかそれ以上に君を愛しているよ。だからそのままの君でぶつかってきて大丈夫。
おばあちゃんは容姿がいくら変わっていようと必ず君を探すことができるからって。
主様からだよそれじゃあ残りの時間を楽しんで。」
時空の使い:「あ、あともう一つ。時間はどの時も一定に進まないよ。楽しかったり感動したりしたときは
進む速さが倍速以上になるよ〜」
夏恋:「今の何…。残り1日と20時間。時刻は16:39。えぐもう少しで24時間寝てる。」
さっきの天使?みたいなやつの話信じていいの?でもこの際信じるしか無いじゃん?
明日の1日にかける10時ぐらいにおばあちゃんの家につけるようにしたいから、起きるのは9時ぐらいか。
そしたら残り時間は16時間。大丈夫。じゃあまず明日起きれるようにもっかい寝よ。
寝ても寝ても寝た感じが全然しない。過去にタイムリープするって体力消耗するね〜。
ピロン ピロン ピロン…
「朝っ!何時!11時!寝過ごした。」
3日分の宿泊料を払ってネカフェを出た。残り時間は[0:15:20]減りが速いのはなんでだろう。
嬉しかったり感動したりしてないのに。!夢の中でかな。ここ3日はおばあちゃんとの幸せな夢ばかり見る。
絶対それだ。おばあちゃんの家が見えた。中に人影も見える。
ピンポーン
?:「は〜い」
ガチャ
?:「どちらさんですか?」
ドアを開いたのはおばあちゃんだ。ちゃんと自分で生きている。そう思っただけで嬉しくて涙が溢れてきた。
おばあちゃん:「どうしたの?大丈夫かね?」
夏恋:「おばあちゃん。夏恋だよ。今から10年後の世界から頑張っておばあちゃんに会いに来たの!」
おばあちゃんが困惑したような顔で私を見てる。そりゃそうだよ。
見ず知らずの子がいきなりそんなこと言ってるんだもん。
でもその次の瞬間、私の両方の頬におばあちゃんの優しい手が伸びてきてクイッと顔が上がった。
おばあちゃん:「あんたほんとに夏恋だね。頬のホクロの位置も目の形もかわいい唇も全部全部、夏恋だよ。」
夏恋:「おばあちゃん。おばあちゃん!」
ずっと飛び込みたかったおばあちゃんの腕の中に私は飛び込んだ。そこはとっても懐かしかった。
どのぐらいそうしていたんだろう。私は時間が気になって見たら実際には30分しか経ってないのに
残りのタイムリミットは7時間を指していた。つまり私に残された時間は長くて30分。
私はおばあちゃんに少しずつだけど速く学校でのいじめの出来事を話した。
おばあちゃんはずっと頭を撫でながら聞いてくれていた。
私が話し終わって数秒経ったあとおばあちゃんはこう言った。
おばあちゃん:「辛かったね。よく頑張ったね。でも夏恋にはおばあちゃんがいるよ。何があっても。必ず。」
対策よりも慰めよりもこの言葉が欲しかった。おばあちゃんがほんとに好き。
夏恋:「ありがとう…。おばあちゃん。」
残り[0:3:12]きっともう10分ぐらいだろう。どうしてはやく会いにこなかったんだろう。
今になって後悔する。でも過ぎてしまった時はもう戻せない。だからこの時間を大切にする。
今、この瞬間もおばあちゃんは私を抱きしめながら頭を撫で続けてくれている。
ずっとこの時間が続いてほしい。
夏恋:「あのね、私もうすぐ10年後に帰っちゃうの。その前に一つだけ大切な話していい?」
おばあちゃん:「うん、話して。」
おばあちゃんが6年後に誤飲によって亡くなってしまうことを話した。
おばあちゃん:「そうかい。人はいつか死んでしまうけど6年後か。わかった!気をつけるよ。」
夏恋:「うん!」
ふと足元を見ると透けてきていた。いよいよ戻るんだ。おばあちゃんも気づいたみたい。
いつもはあまり泣かないおばあちゃんの目が涙目になっている。
夏恋:「おばあちゃん!私のおばあちゃんでいてくれてありがとう!ずっとずっと大好きだよ!ほんとに
大好き!本当におばあちゃんが私のおばあちゃんで良かった!ホントの世界でもちゃんと強く生きるよ!
おばあちゃんみたいになれるように!だから安心してね!ほんとに大好き。」
おばあちゃん:「夏恋。頑張ってここに来てくれてありがとう!運命は変えられないっていうから
気をつけてても死んじゃうかもだけど、おばあちゃんは死んでからもずっと夏恋を見守るからね。
安心しなさい!それでいつになってもおばあちゃんは夏恋が大好きだよ。 ちゃんと生きなさいね。
ずっと応援してる。夏恋なら大丈夫。大大大大好きよ。」
夏恋:「おばあちゃん!私も大大大大大大大大好き!」
ここで私はフッと意識が切れた気がついたら病院らしきベッドに横たわってた。ナースさんと目が合う。
その後は意識が戻ったと母や父が来た。その日じゅうに私は退院した。
その夜転校したいと母と父に言ったら快く了承してくれた。
今はとっても楽しい!新しい学校に制服に友達!ここではいじめもないよ!
残念だけどおばあちゃんは同じ日に肺炎によって亡くなってた。でも最初から最後まで安らかだったみたい。
っていうか記憶がそうなってる。でももう大丈夫。
そういえばおばあちゃんがねよく使ってる花火の簪をねおばあちゃんがタイムトラベルして消える寸前に
髪から取って鞄に入れてくれたみたい。本当に優しい人なんだ!
今はどこにでもこの簪をつけてってるんだ〜!
ともちゃん:「かれ〜ん!カラオケいこー!」
あ、友達のともちゃんに呼ばれた!じゃあ行くね!ばいば〜い!
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