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第2話 祖国について About the homeland.

C.T.B施行後の世界について


韓国やイスラエルの様な徴兵国では早々に現在の軍を解散し高齢者に任務を引き継いだ。


また、徴兵制のない日本のような民主国家でも、労働をAIによるフルオートメーション化の急進をし、

高齢者の再就職先を減らす事により、雇用の流れを従軍に向けた。


しかしそんな操作をせずとも、入隊後の社会的優遇と、

退役後の税控除など様々なサービスの為に志願者は後を絶たなかった。


最初の数年はインテリ壮年層とマスコミからの連日の批判と反発が出たが、

国を守る多くの年配者は次第に尊敬され始め、世間からも大切にされていった。

そして”敬老と敬礼“が社会に根付くと徐々に反対論は減り、反政治運動やテロも減った。


当事者の高齢者達も、


「おじいちゃんが国を守ってくれている。」


「おじいちゃんのおかげで大学に行ける。」(従軍者家族は学費免除)


というかわいい孫や家族からの尊敬と感謝の念、そして自分達が国を守っているという誇りと名誉を持って全力で仕事に勤めた。


そこにはもうC.T.B法以前の、



我儘で、


散漫で、


卑屈で、


自信も金もない、


誰にも必要とされていない

かつての老人達の姿はなかった。




施行から10年


ついにこのシステムは完全に世界に浸透した。

新しい時代の幕開けである。



そしてここにも一人の定年退職間近の男がいた。


前田(まえだ) 吾郎(ごろう)

64歳 妻ひとり  子ひとり

東京都アンダー葛飾区在住



---------------------------------------------


…今日はあまりサーバーの調子が良くないんだ。ここでバックロードを止めることにする。

100年後の世界…君にはどう映ってるかな。

君の孫の世代はほぼ皆従軍しているという現実にどうか嘆かないで欲しい。


だってそれは…いや、また今度それについては話そう。


今日はここまで。

君に幸運のあらん事を。


2136年5月24日


東京都ウイグル経済特区

ダブルレインボーブリッジ上にて


著者


※バックロード…過去に向かってデータを送信する22世紀の通信法。許可無く行った者は1回につき懲役30年又は無期懲役の重罪である。






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