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step1.出会い(3)

「ね。しょんべん臭いJKにこだわらずキレイなお姉さんがいるお店にでも行っておいでよ。モテモテでしょ、君なら。そうだ、これあげる」

 つい先ほど、閉店時間ぎりぎりにバースデーケーキを買いにやって来たスナックのママが置いていった一時間無料券を男の手に握らせる。

「ここ、カワイイ女の子がたくさんいるから」

 行ったことのない店だし、知らないけど。

「マジで? おっさん、いいヤツじゃん」

「まあね。じゃあ、この子とは気持ちよくサヨナラしてさ」

「おう。あばよ! どブス」

 おいおい、それはないんじゃないか。由基は内心で引きつった笑みを浮かべる。考えていることが表に出ないのは長年の接客業の賜物ではなく、彼の生まれ持った性質だ。


 男は調子よく手を振って目の前の横断歩道を赤信号で渡り、飲み屋街である裏道へと姿を消した。途端に、へなへなといった様子で女子高生が地面に座り込んだ。

「大丈夫?」

「ん。おじさん、ホントにありがとう」

 白いももをむきだしにしてぺたんと地べたにへたりこんだ彼女は、弱々しく由基を見上げた。アイメイクがっつりで目の周りが黒々していてちょっとコワい。


「汚れるよ」

「ん!」

 余計なお世話と思いつつ声をかけた由基に、女子高生は右手を伸ばす。引っ張れということのようだ。薄暗くて色はよくわからないが、長めの爪がラメっぽいものでキラキラしている。それを眺めて、由基はしばし考える。もう知らん振りして帰ってもいいのじゃなかろうか。

「ん!」

 彼女は焦れた様子でジャンケンでパーを出すように手をつき出す。由基は仕方なく左手を出してその手を握った。ちっちゃい。そして温かい。ついでに柔らかい。


 由基が力を入れるまでもなく、彼女はひょいっと身軽く弾みを付けて立ち上がった。ぽんぽんと軽くスカートの裾をはたく。

「でもさ、しょんべん臭いはないんじゃない?」

 ちらっと上目遣いに睨まれる。

「いや。あれは言葉のアヤで」

 本音だけど。由基にしてみればJKなどしょんべん臭い。JDならギリOKだが。というわけで、これ以上かかわることなかれ。

「気をつけて帰りなさいね」

 由基はさっと彼女に背を向ける。すると、後ろから腕に抱き着かれた。


「待って、待って。お礼をしなくちゃ。何がいい?」

「いいよ、そんなの。子どもから貰うものなんかないよ」

 肩を捻って彼女の腕から抜け出そうとしても、ますますぎゅうっとしがみついてくる。

「子どもって、これでもけっこう立派だよ?」

 腕に押しつけられる柔らかいもの。確かに立派に育っている。

「おじさんイイ人みたいだし、いいよ? あたしのこと好きにしても」

 ナヌッ!?

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