おふくろの味……
こんにちは、ふっしーです。今回も引き続きお母のお話です。
僕が中学生か高校生のころのお話です。お母に、ごはんができたから下りておいで、とよばれました。すぐに下りていくと、めずらしいことに食卓の上にオムライスが並んでいました。ウチの食事ははお父が優先で、和食が中心です。子どもがよろこぶような献立はカレーくらいでした。ただ、お父は焼き肉が大好きで毎週日曜の夜は焼肉でした。八日連続で晩飯が焼肉だったときもあります。エンゲル係数の高い一家ですね。
話をオムライスに戻します。
自分の席に着きます。すでに卵の上にはケチャップがギザギザにかかっています。ところがです。オムライスの横にご飯が――銀シャリが用意されているのです。
僕は考えました。おかわりはないってことか?
オムライスは結構な大きさです。カレー皿の端から端まであります。こっちは育ち盛りの食べ盛りですので、僕にだけご飯が付いているならわかります。でもみんなに用意されているのです。僕のような凡人ではお母の考えなどわかるはずがありません。
とりあえず白米のほうはあとでお茶漬けか漬物ででも食べたらええわ、とオムライスから平らげることにしました。
お母の作ったオムライスはどんなもんだろ? 期待を込めてスプーンを突き刺しました。
しかし、スプーンは卵の幕を破った時点で止まってしまったのです。抵抗が強くてそれ以上刺さりません。
「……なんで?」
僕はそのままスプーンで卵をめくりました。
現れたのは茶色の細長い塊。オレンジ色も少し混じっていて、ゴマ粒も見えます。
僕がオムライスと信じて疑わなかったものは……。それはオムきんぴらごぼうだったのです。ご丁寧にこんにゃくまで入っています。お母の創作料理らしいです。
いいんです、卵焼きときんぴらだと思えば。
しかしよくこんだけのきんぴらを作ったな、と。大きめのオムライスの中身すべてきんぴらです。それを五人前です。確かに田舎で古い家なので、たらいの代わりに仕えるような大きな鍋もありますが……。
「あんたはしよいわ(手がかからないので楽だわ)、食べ物のことではひとっちゃ(全然)文句言わんきに」
とお母が僕によく言います。
当然です。料金を払うわけでもないのに文句なんて言えません。しかし、どちらかと言うと残念な気持ちでした。それをちゃんと言っていれば……。
僕はしばらくの時を経てデジャブを見るのです。
オムミックスベジタブルとオムひじきの煮物でした。
ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。




