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「吾助どん…」
雪女の涙は止めどなく溢れている。
そして幸雄とユウの涙も。
「ううう…吾助さん…」と幸雄。
「雪女さん…かわいそう…」とユウ。
2人は雪女に負けないくらいに泣いている。
「お前たち…本人より泣くなよ…」
ニャン太が呆れた。
しゃくり上げる2人の前で雪女の全身が優しい光を発し、徐々に薄れていく。
「あ! 吾助が裏切ってないと知って、雪女が成仏していく!」
ニャン太が眼を細めた。
ひときわ輝いた後、雪女の姿は消えた。
凍っていた科雄が元に戻る。
ユウの勾玉炎も小さくなり、定位置にフワフワと浮いた。
「あれ? 雪女は!?」
科雄が、すっとんきょうな声を上げる。
「親父…良かった…」
幸雄が胸を撫で下ろす。
「ユウ」
傍らのユウに呼びかけた。
「幸雄」
ユウが幸雄に抱きつく。
「あたし、幸雄の役に立った?」
「う、うん。すごく助かった」
ユウの顔があまりに近いので、幸雄が照れまくる。
「良かった。あたし、幸雄を助けられて嬉しい!!」
ユウがニコッと笑う。
(かわいい…)
幸雄は心底、そう思った。
「おーい! 雪女ー! どこ行ったー!?」
科雄があちこちに転がっているガラクタを覗き込む。
しばらく後、幸雄とユウ、ニャン太は研究所の入口に居た。
科雄はまだ、雪女を捜しているようだ。
「じゃあ、行くね」
ユウが悲しげに告げる。
「う…うん」
幸雄も寂しさを隠せない。
「せっかく仲良くなったのに…でもお父さんを捜す旅だから仕方ないよな」
「また来るね」
「うん…」
「じゃあな、幸雄。ほら、ユウ、行くぞ!」
ニャン太が急かす。
「幸雄、さよなら」
「ユウ…さよなら」
一度は背を向けたユウが急に振り返り、幸雄に抱きつく。
そして幸雄の頬にキスした。
(あ! 冷たいけど…温かい)
幸雄は真っ赤になった。
ユウが駆け去っていく。
「バイバイ」
かわいらしく手を振った。
「バイバイ」
幸雄も振り返す。
ユウとニャン太は夕闇の中へと消えていった。
幸雄はその場で動かず、いつまでもユウたちが消えた方を見つめているのだった。
次の日の夕方、学校が終わった幸雄は家へと向かった。
今日は1日中、事あるごとにユウの顔を思い浮かべてしまう。
(はぁ…ユウに逢いたい…)
「ただいまー」
幸雄が研究所に入る。
「おかえりー」
研究台の椅子に座り、科雄といっしょにカップアイスを食べるユウが返事した。
「ズコーーーーッ!!」
幸雄がうつ伏せに倒れ、床を滑る。
「幸雄、危ないぞ!」と科雄。
「ユ、ユウ!? どうして!?」
幸雄がパニクる。
「また来るって言ったよ」
「早すぎじゃね!?」
「そかなー?」
ユウが顎に指を当て、首を傾げる。
「ユウの父親捜しは、この周辺を廻ることになった」
ガラクタの上から声がした。
「ニャン太!」
幸雄が猫又の名を呼ぶ。
「ここは基地にはもってこいだからな。しばらく世話になるぞ」
ニャン太が前足で顔を撫でる。
「そ、そか」
幸雄がユウの横に座る。
ユウがアイスをすくったスプーンを差し出した。
「食べる?」
「う、うん」
幸雄がアイスをパクッと食べる。
(あ。また、間接キスだ…)
「ふふふ」
ユウが嬉しそうに笑う。
幸雄も嬉しかった。
喜びが込み上げてくる。
「ユウ、ありがとう」
幸雄がいろんな意味で礼を言った。
「うん」
ユウが頷く。
「あたしに出来る事ある?」
ニッコリ笑ってユウが訊く。
幸雄は顔を赤らめた。
「あ。お前、またエッチなことを考えてるだろ!」とニャン太。
「何!? 幸雄にエッチはまだ早いぞ」
科雄が眉を吊り上げる。
「か、か、考えてねーわ!!」
幸雄が怒る。
しかし、実は頭の中はエッチなことでいっぱいだった。
必死な幸雄を見て、ニャン太と科雄が笑いだす。
ユウも笑った。
その笑顔を見て、幸雄も笑いだした。
しばらくは楽しい日々が続きそうだ。
おわり
最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)
大感謝ですm(_ _)m
TwitterのFF様、黒木さんに書いていただいたかわいいユウちゃん。キャラ設定(名前、口癖、性格など)も考えていただきました。彼女を主人公に私が書いたコラボ企画短編でございます。
黒木さん、ホントにご協力ありがとうございました!( ☆∀☆)




